『おおのゆずるウィンターディナーショー』との看板が出ている、某ホテルの大宴会場の中。「おおの先生は、まだ起きて来ないのか!」 宴会担当支配人の島田は苛立った様子で、シフトリーダーの青山に訊いた。先ほどから何往復もしている青山は、すでに汗だく...
「じゃ、行ってくるよ」「あなた、ちょっと待って」「えっ、何だい?」「ねえ、今日の晩ごはん、何がいい?」「何でもいいよ」「もう!何でもいいは、ダメ!」「うーん、じゃあ、焼き肉かな」「何言ってんの!給料日前なのよ」「ええーっ、それじゃ、アジの開き...
長い道のりだったが、高田は明日の取締役会でいよいよ社長に選任されることになった。思えば、入社試験の面接で「将来の夢は社長になることです」と言って失笑されてから三十年、随分あくどいこともやってライバルたちを蹴落としてきたが、ようやくその夢が…
女嫌いと同性愛がこうじて男子校へ入学した、ド変態ホモ佐藤 陽彦(さとう はるひこ)! しかし彼が入学式で一目惚れをした相手は、なんと――『男のフリをして男子校に通っている〝女の子〟』だった……。
「佳代ちゃん、これ、どうしたらいいんだっけ」また始まったと、佳代は心の中で舌打ちした。(いい歳して、甘ったれた声を出すのはやめて。それに、『佳代ちゃん』という呼び方もウンザリ)もちろん、表面上は爽やかな笑顔を微塵も崩さない。「どうされました…
夢と友情と魔法の学園青春ドタバタ異世界ファンタジー。 「召喚獣の悠さん。よろしくです」「俺は人間だ。せめて召喚人で手を打たないか?」 高校生の鷹村悠は、お気に入りの喫茶店で友人達と過ごしていた。 懐かしい話で仲間達ともりあがり彼の意外な一面が公開されたりする中、今日もいつもと変わらない1日だったとベッドへ入る。 一方、異世界の学院生アイリス・カーフィーは緊張感一杯の1日を送っていた。彼女は努力の末、契約者になる機会を学院に認められ、他の世界から自分の召喚獣を呼び出す試験を当日に控えていた。 だが、意外かつ小さな縁でアイリスに召喚されたのは獣では無く、ベッドに入ったハズの悠だった。偶然が二人にもたらしたこの出逢いの先に何が待っているのか? ※初作品。各部5000字程度予定。
目隠しをされたまま、車でグルグルと移動させられたので、浜田にはここがどの辺りなのか見当もつかなかった。車から降ろされ、手を引かれながら階段を下って行く。やがて、案内役の男が立ち止まった。「さあ、着いた。中に入ったら、目隠しを取ってもいいぞ...
都市伝説「メリーさん」にちなんで、SSを書いてみました。地の文はあんまりないんで、いわゆるSSですね。ホラーではありません。
「ごめんくださいませ」今時あまり聞かない挨拶だなと思いながら、たまたま休日で家にいた福田はドアホンのモニターを見た。見たところ平凡な中年のセールスマンのようである。「何の用だ?」「福田幸男さまでいらっしゃいますね」「そうだが」「おめでとうござます...