君と出会って、180度
1.僕等(?)の紹介
藤崎 秀
高校1年生
the凡人
杏樹 舞
神社の守り神
咲きギツネ
秀にまとわりつく
舞のお付きだったが、ペット扱いされ嫌になる。
2.君との出会い
僕、藤崎 秀は、鹿児島の伊佐と言う田舎から福岡に一人暮らしを始めるこになった。
子供が少なく、高校があまり無いという事できたのだが、それとは別で都会である福岡に住みたいと思ったからである。
例え、東京程でもなくても、僕みたいな田舎から来た者は都会に思うだろう。
だが、僕は一つの事に気づいた。
それは、金銭面だ。
バイトするとしても、足りないだろうから
親から仕送りは来るものの、自分は無駄使いする方だからいつか、歯止めが効かなくなると思ったら気が済まない。
不安にしか、思わない。
こうなったら、神頼みしかない!!
一応、近くにあった神社にお参りに来たものの誰もいない。
静まり返っていて、少し不気味なぐらいだ。それに合わせて、天気は曇り。
影がおおく、暗い所が所々あった。
帰りたくなって、すぐさまお参りを済ませ帰ろうとした時、「もう、お帰りになるのですか?」凛とした声が響く。
「え?」振り向くと、巫女姿の少女が立っていた。流れるような黒髪、少し青がかかった瞳が綺麗だ。
「えっと、さっきまでいました?」
「はい。ずっと見てましたよ。貴方なら、大丈夫だと思って。」
「え?何が大丈夫なんですか?」
少女に勢いよく手をつかまれた。
「?!」
手から、熱が帯び始めたのが分かる。
「どうか、私の手伝いをお願いします!!」
この一言から、僕の景色生活は、180度変わり始めた。
3.喋る狐
いきなり、すいません。
舞は、握ってた手を慌てて離した。
「いいえ!(汗)」
流石に、手を握られたままじゃ緊張しっぱなしだ。
「あの、良かったらお茶をだすので……」
「あっ、はい。」
古い建物だったが、中は掃除が行き届いておりとても綺麗だった。
「お茶を用意してきますね。」
舞は、奥の方へはいっていった。
やっぱり、始めての所は中々落ち着けなく辺りを見回してしまう。
「おい、小僧。そこに座布団があるから座らんか。」
「はいっ、すいません。」
そこで、自分が誰と話していたのか気づく。
だが、あたりを見回してしも誰もいない。
「おい!!下を見ろ!!下だ!!」
下を見ると、子犬位の大きさをした狐がいた。
(狐?イヤイヤまさかな。)
「チワワ?」
「誰が、チワワだ!!わいは、立派な狐神や!!咲きギツネだ!!」
何処からどう見ても、ただの狐orチワワか、喋るぬいぐるみだ。
だが、抱いてみると結構な重みがあり温かい。
ちゃんと、生きている生物なんだろう。
「何で狐が、ここにいるの?拾われたの?」
咲きギツネは、拾われた と言う言葉に少しばかり反応した。
恐らく図星だろう。
「あの~お茶とお菓子持ってきたんですけど……」
奥の部屋から、お盆を持って舞が出てきた。
「あれ?咲きちゃん?どうしたの?散歩行きたいの?」
「何が、散歩だ!犬扱いするな!」
咲きギツネは、畳を小さな前足でペシペシ叩く。
確かに、舞の言葉はイヌを関連付ける言葉だ。それが気に食わなかったのだろう。
秀は、その会話を苦笑いで見守る事しか出来なかった。
4.大切な仕事
「舞さん。手伝いとは、どのような内容なんですか?」
お菓子を食べる咲きギツネを膝に乗せながら話を聞くことにした。
(狐って、お菓子食っていいのかよ。)
「私のお仕事は、その人達の願いごとや相談などを聞いて、願い事を叶えさせるお手伝いをする事です。」
「お多くの人達は、神様が叶えてくれると思っているようだが、実際の所神にはそんな力はない。」
咲きギツネは、口の周りに付いたお菓子を舐め取りながら喋る。
実際の所自分も、神頼みしかやった事がなく、その結果願いは、叶わない事が多かった。
「それが、人間ならいいのですが、時には変わったと言うか、特別と言うか……」
戸惑いながら、しゃべる舞に秀は疑問を持ち始める。逆に持たない方がおかしい。
「なぁに、変わった奴らだが、悪い奴らではない。特殊なだけだ。」
(この狐マイペースだな……(呆れ))
「その、特殊な人達とはどんな……?」
「信じて貰えるかは、分かんないだけど
かぐや姫とか……一寸法師とか……。」
信じてもらえないと思っているのだろう。
舞は、冷や汗をかきながら、秀の顔をチラチラと見る。
だが、今現に膝に乗ってイビキをかく喋る狐がいるんだ。信じるしかない。
「信じるよ。現にこんなカワイイ、チワワが喋るんだからな。(笑)」
眠りから、目を覚まし秀に抱き抱えられてることに気づく咲きギツネは、不満なのか腕をずっと叩いている。
「本当に信じてくれるんですか?!ありがとうございます。」
「おい!貴様!また私をチワワといったな!あんなキャンキャン騒ぐ犬と一緒にするな!(怒)」
(いや、おめーも今、キャンキャン騒いでるぞ)
5.咲きギツネ、家の冷蔵庫に侵入
今日は、色々な事がありどっと疲れた気がした。余りにも、現実味が無くだが、それでもちゃんとした現実という事が疲れが増す。
1:00ー
いつの間にか寝てしまったのかふと、目を覚ました。晩飯も食べてなく、喉も乾き、
仕方なく台所にいった。
だが驚く事に、誰も居ないはずの台所に電気が着いていて床にゴミが散らかっていた。冷蔵庫の扉が開いていて、少しの隙間から黄色の尻尾が見えていた。
「お前、何してんの?」
「あ……。」
「いやぁ、悪いな。秀の家を探しているうちに腹が減ってな。」
「いや、こっちは、泥棒かと思ったんだけど。」
ベットの上で、ハムを食べる狐を見る事は中々ないが、何故か無性に腹が立った。
「何で、俺の家にいるんだよ。」
「お前、私は神様に近い存在何だぞ。敬語を使え!敬語!」
「……(怒)何で、この家にいるんですか。教えてください。」
「舞の傍にいるのは、限界なんだ!!」
咲きギツネは、目に涙をためながら泣き叫ぶ。
夜だから静かにして欲しいものだ。
「何でだよ。」
彼女なら、大切に育てていると思う。
まさか、虐待をしている訳ではあるまい。
「私をペット扱いしているのだぞ!!神に近い存在なのに!!」
「はぁ。」
彼女は、咲きギツネをペットの様にしているらしい。散歩に連れていこうとしたり、
極めつけには、ペット用のシャンプーで洗うだの、傍から見ればどうでもいい様なことだが咲きギツネにとっては、耐えきれない事らしい。
「という事で、今日からここに住まわせてもらう!!よろしく頼むぞ。」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
つい、尻尾を強く掴んでしまった。
「いだだだだだだだ!!!」
6.かぐや姫の恋
GWウイークなので、高校は無く朝から神社に行くことにした。
家の近くに、香椎駅があり隣の駅で降りるためそんなに時間は、かからない。
「おはよーございます。」
舞は、朝から神社の掃除をしていた。
「おはようございます。秀さん。」
昨日と同様巫女姿だった。
「あれ?咲ちゃん?秀さんの所にいたんですか?心配しましたよ。」
「やかましい!私は、お前のペットじゃないんだぞ!いい加減にしろ!」
「あっ!そういえば、今日は早速お客様がいらっしゃいますよ。」
舞は、咲きギツネを抱き上げながら秀に向かって言う。
「えっと、俺は、何をすればいいんですか?」
「内容は、願い事を聞いてからです。」
カランカラン
何処からか、静かな神社の中に音が鳴り響いた。
「あら、いらっしゃったようです。」
「今日の客は、かぐや姫か……」
咲きギツネは、面倒くさそうな顔で呟く。
瞬きする瞬間に目の前に、ピンクの生地に金の刺繍が施された着物を着ていて、腰までの髪の長さがある少女が、立っていた。
見た目は、20代前半ぐらいだろう。
少女が、こちらに走ってきた。
「まいー!!」
少女は、舞に抱きついてきた。
「おー!咲きギツネもおったか!久しぶりじゃのう。もふもふ。」
「誰が、もふもふだ!!」
(これが、かぐや姫?!)
「いやぁー、この神社に来るのも久しぶりじゃのう。」
「前、いらっしゃったのは2年前でしたね。」
「あの時は、酷かったな。」
全く話についていけない秀は、話の内容が分からない。
「お主は、前おらんかったのう。前はな、今時の格好をしてみたくてな、散々な結末になったんじゃ(笑)」
想像すると、疲れそうなので想像する事をやめてしまった。
「かぐや姫、今回は何故ここに来た。」
「えっと……それがじゃのぅ……。」
「「「?」」」
「恋だったりして……な~ぁ~んて~……。その相手が、人間の子だったりして~。」
冷たい沈黙が、流れる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
恋する相手
「お前、本気で言ってるのか?」
「本当じゃ!!もふもふには、分からないのか?この気持ち!」
「舞さん、かぐや姫は人間に恋してはだめなんですか?」
「決まりはないんですが……「命の長さが違うため人間の方が早く死んでしまうのだ」
それだと、残されたかぐや姫はずっと悲しみの中生きていかなければならない。
誰が、考えてもその悲しみは耐えられない事が分かる。
「それぐらい分かっておる。ただ、想いを伝えるだけじゃ。」
かぐや姫は、笑いながら言うが手が小刻みに震えていた。それだけ、辛いことだろう。
舞達は、顔を合わせ頷く。
「分かりました。その分ちょっと厳しい事もありますが。」
「どんな事でも、やってみせる!お主ら頼むぞ!!」
「では、貴方のお願いを手伝わさせていただきます。」
咲きギツネは、ため息をつきながらも意思を決めたかぐや姫の顔を見て協力する事を決めたようだ。
「想い人に会いに行くんですよね?それでは、覚悟してくださいね。」
舞は、黒く笑う。
「舞……どうしたんじゃ。そんな怖い笑顔をして……(汗)」
博多駅ー
旅行客や、学生が多く人混みが出来ていた。
「うぅー何じゃこの人混みは~」
「確かに今日は、人が多いですね?何かあるんでしょうか?」
「GWウイークだからですよ。長い期間の休みは旅行客が多いんですよ。」
「ゴールデンとはもふもふと一緒じゃの。」
咲きギツネとは、言うと舞の頭の上に乗っている。重くは無いのだろうか?
「それより、お前の格好は何だ?」
かぐや姫の格好は、ワンピースに生地の薄いカーディガンを羽織った物だ。
「何じゃもふもふ!文句あるのか?」
「仮にもお前は、姫だぞ!!父親から何を言われるか……」
「咲ちゃん、好きな男の子に会いに行くのにオシャレは、するものだよ。」
「それより、舞さん。その相手はどこにいるのか分かるんですか?」
「その点は、心配いりませんよ。」
そんな軽い気持で良いのか分からなくなったいった。
8.見つけた恋の相手
キャナルシティー
「何じゃ、ここも人が多いのぉ(汗)」
「舞さん、本当にここにいるんですか?」
「必ずいますよ。でも人が多すぎです」
やっと、人混みから離れた3人はすでに疲れ果てていた。
「どうします?こうも、人が多いようじゃ探すのも……」
「いた!!」
かぐや姫が、指した方向には学生が何人か集まっていた。
その中の、茶髪の子に目を向ける。
「かっこいい人ですね。」
「見つけたが、これからどうするんだ。
お前次第だぞ。」
「ちょっと、行ってくるのじゃ!!」
「「「え?!」」」
かぐや姫は、1人になった瞬間を見計らい近づいて声をかけた。
見てる方は、ハラハラする一方だ。あっち側に対しては、初対面なのだ。それを恐れなく行動するかぐや姫を3人は、呆然と見るしかできなかった。
「あの!!」
「はい?何ですか?」
「えっと、その……」
「あっ、駅ならあの道を」
道を聞かれたと思ったのだろう。
それもそうだ。初対面の人に告白されるなど思ってもいない。
「私は、そなたの事がー
神社ー
さっきから、かぐや姫は部屋の隅っこにずっと顔を埋めて落ち込んでいる。
遂には見ていられず話しかけるしかできなかった。
「かぐや姫さん……。」
「おい、そっとしておけ。あの結末は、誰も想像していなかった。」
咲きギツネは、欠伸をしながらかぐや姫を同情する様に眺めていた。
「それも、そうですけど……」
「まさか、゙女子゙だったとはな……。」
そう、まさかの男だと思っていた子が女だったのだ。
「そなたの事が、好きなんじゃ!」
「あの、勘違いしていません?」
「え?」
「私、女ですよ(汗)」
周りの音が、静まり返ったように思えた。
「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」」
「よく、間違われるんですよ……すいません。」
「まぁ、恋に失敗はつきものですよ。」
「舞ぃ~」
「それよりも、お前いつ帰るんだ?」
「あぁ!帰らなければ父上にバレてしまう!」
「お前は、まさか黙って出てきてたのか。
仮にも姫という立場なのに。」
「それじゃぁな!舞、秀、モフモフ!!」
再び目をかぐや姫の方向に向けると彼女はいなくなっていた。
それから、数日後かぐや姫から手紙がきていた。
内容は、父親からの謝罪と今の心境が書かれていた。
かぐや姫が、黙って家を出たのはすぐにバレ帰ってきた時には長い時間、説教をされたらしい。
9.これからの生活
かぐや姫の1件から、数ヶ月がたち仕事の手伝いにもなれてきた。
家には、ぐうたらする咲きギツネが居て1人よりはましという考えをもつよえになってしまった。
神社にお願いをしに来るもの達は、かぐや姫のような人達だけではなく、普通にいる一人一人の人間も多くいる。
実際に自分が、役に立っているのか分からないが今の生活があってはならないような存在になっていた。
最初は、ちょっとした都会に憧れていただけなのに、神社のお手伝いをし始めて全てが変わった。
舞に最初に出会った時には、既に変わり始めてたのかもしれない。
ときには、きつい事もあるがこの日常が変わる事のないように思いたい自分がいた。
さて、今日はどんな頼みごとが来るのか。
あなた達と出会った事は、僕の人生を180度かえる様な出来事です。
君と出会って、180度