セレソン28

セレソン28

オートナビ

坂口がマイカー通勤していると言うと、大抵うらやましがられる。 だが、渋滞に巻き込まれたり、油断してバッテリーが上がったり、ガス欠寸前なのに近くにガソリンスタンドがなかったり、ほんのちょっと停めただけなのに駐禁を切られたり、やけに前が空いて…

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リターンマッチ

森のクマが企画した合コンだった。森に住むほとんどの動物が集まっていたが、一番張り切っているのはウサギで、相手かまわず声をかけていた。「マジやばくねえ。あんたチョーかわいくねえ」 いいのか悪いのかちっともわからないため、大抵は無視されている…

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忘れえぬ日々

マミはロボットのトモゾーが大好きだった。 マミが物心つく前からトモゾーは家にいた。パパに聞いたら、パパもそうだと言う。トモゾーを買ったのは、パパのパパ、つまり、マミのおじいちゃんだ。人間ならもう六十歳を超えているはずとパパが言っていた…

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唯物論者

「お父さん、お久しぶりです」「おお、シゲルか。元気にしていたか」「はい。家族もみな変わりありません」「それは何よりだ。ところで、研究は進んでいるかね」「ええ。お父さんの研究を引き継いでから十年になりますが、新しい機械を導入した効果もあって…

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タッチ

午後の外廻りは誰しも眠いものだ。缶コーヒーでも飲もうと、大久保が道路脇の自販機にコインを入れようとした時、ふと、背後に人の気配を感じた。振り返ると、ひどく疲れた様子のサラリーマン風の男が立っていた。髪はボサボサ、無精髭を生やし、だらしなく…

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師匠と弟子

「なんじゃ、これは!」 ガチャンと何かが割れる音。「申し訳ありません、お師匠様」 師匠と呼ばれた老人は顔を真っ赤にし、肩で息をしている。「おまえはわしの教えを忘れたのか。こんな下品なものを作るとは。ああ、情けない…

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とんでとんで

ある日突然、特殊な能力が開花することがある。ほとんどの場合は子供の頃の話で、急にすごい絵を描いたり、円周率を何十桁も暗記したり、といったことだ。大人になればそんなことはないだろうと、ヒロシは思っていた。 あの日までは…

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オオカミとカエル

小さな池で、子供のカエルたちが遊んでいた。 そこに、突然、一匹のオオカミがやって来た。うんとお腹が減っていれば小さなカエルたちだって狙われたかもしれない。だが、オオカミは喉が渇いていただけのようだ。ガブガブと水を飲み終わると…

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しようきんし

(作者註:これはあくまでも架空の世界のお話です) それは、隣の大国の一方的な通告から始まった。「漢字は我が国固有の文化遺産である。しかるに、貴国は我が国に無断でこれを使用している。これは文化の略奪に他ならない。貴国はただちに…

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昔の暮らし

《本日のテレビ授業参観はスペースコロニー第三小学校五年三組です。視聴覚教室で行われた歴史の授業を見てみましょう》 三十名ほどの生徒に向かって、女性の教師がしゃべり始めた。「さて、みなさん。前回までは資料ばかりで少し退屈したでしょう…

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