セレソン28

セレソン28

切符を拝見します

「おい、ここはどこだ?」隣に座っていた上司の寺島に肩をゆすられ、相川はハッと目を覚ました。特急列車の揺れが心地よく、いつの間にか眠っていたらしい。「えっ、あっ、ちょっ、ちょっと、待ってください」客車の前方にある電光表示で次の停車駅を確認すると......

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身分証を呈示してください

某テレビ局の裏口。人目を忍ぶように中年の男が入って来ようとしたところを、入口の前に立っていた警備ロボットが制止した。《身分証を呈示してください》男はムッとしたように、ロボットの腕を振り払った。「何しやがんだ。おれだぞ、おれ。『奥さまのアイドル......

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ノンアルバー

最近の三十代の女性には珍しく、庄司朝子は全く酒が飲めなかった。なので、会社の同僚たちから飲みに誘われても極力断っている。同じ課の今村美穂からは、せっかくの婚活のチャンスを逃すなんてもったいないとか言われるが、そんなチャンスなどいらないと……

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エキゾチックなアニマルたち

最初にハリネズミの異変に気付いたのは、父親の高田の方だった。「おーい、祐美、ちょっと来てくれ」パタパタと階段を上がって来た大学生の祐美は、口をとがらせた。「もう、パパったら、勝手にあたしの部屋に入らないでよ」「掃除のついでさ。それより......

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宇宙人おもてなし課

城島が住民票の転入出届を入力していると、市民課の課長から、ちょっと来てくれと電話があった。作業を中断し、城島は課長室に行った。「何でしょうか?」眉間にタテジワを刻んで書類を睨んでいた課長が、顔を上げた。「おお、呼び出してすまん。急な話だが......

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ハイパー作業員

つまらぬことで上司とケンカになり、小野寺隼人は会社を辞めた。やたらとプラス思考の話をし、自分の考えを押し付けてくるイヤな相手だったが、二十九歳にもなって大人げなかったと、今では反省している。七十歳の定年までに何度か転職するのが当たり前の時代に......

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決して開けないでください

あなたは『決して開けないでください』と書いてある箱を持ったまま、開けるべきか否か、すでに十分ぐらい悩んでいた。配達してきたのは大手の宅配業者であり、宛先はあなた本人に間違いないので、よく確かめもせずに受け取ってしまった。差出人はメテウス商会......

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ハリウッド版おむすびころりん

良いジイさんに教えられた地面の小さな穴に、言われた通りおむすびを放り込んでから、すでに三十分以上たった。が、何の反応もない。「くそっ。なめんじゃねえぞ、ネズミども。こうなったら、こっちから行ってやらあ!」悪いジイさんは近くにとめてあった車に戻り、トランクを開けた。「ピストルと予備弾倉、手榴弾を二つ……

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わたしはミニマリストなんかじゃない

今日で三日、カゼで会社を休んだことになる。昨日は一日中高熱に苦しんだけど、今日はずいぶん下がったようだ。おかげで少し食欲が戻ってきた。でも、食べるものが何もない。一人暮らしは気楽でいいが、こういう時だけは、誰か助けてくれないかな、と思う......

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月の標識

久々に再開された有人月面探査は、主要国の共同事業となった。宇宙開発のコストが、一国の経済力では賄いきれない時代になったためである。各国間での軋轢も多かったが、予算に余裕があるおかげで月面車を3台持って行くことができ、今までにない綿密な調査が......

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