ぼくは、楽器、テルミン。こころを持つロボット楽器だよ。いつも、やさしい博士。だいすき。それで、博士は、ぼくを人間のように、大切にしてくれていた。
喫茶店「serenata」に集まった、某動画サイトで活動している面々がコーヒーと甘味を楽しみながら話しているところを覗いてみました。
戸籍謄本を受け取る為に出かけた区役所で、恭一は突然同じ年齢程の女に呼び止められた。かつて学生時代の同級生で恋人でもあった愛子との、同窓会以来十五年ぶりの再会であった。愛子は二人の子供達を育てていたが、夫の浮気が相手に子供を生ませるまでに至って、完全な別居生活が既に三十年近く続いていたのである。 幼い頃に実の父親からは暴力を振るわれ、育ててくれた義父に犯され、結婚した夫には裏切られて、愛子は心に深い傷痕を負っていた。だが恭一との久しぶりの再会から一年後、末期の癌に侵された愛子は、子供達や恭一の前から去って逝った。そして愛子の娘、陽子も又、母と同じように残された命の時間を宣告されたのである。だがそこには、既に逝ってしまった愛子が企てた、愛する者の愛を得る為の激しい渇望が、想像を越えた姿で娘の陽子に託されていたのである。