アミガサタケの精になった吾は、鳥海山の近くを歩いていた。と、母娘といっしょになり、柘榴の山にいく
高尾山に生えている網笠茸に、小さな生き物が住んでいた。天狗だった。
磯に立った吾は、いつの間にか海の中を歩いている。
家族の記憶は紫陽花の花びらのように寄り添い、重なり合う。 最愛の妻・小夜子を病で失った夫と、幼い姉妹。 別れの悲しみと向き合いながらも、子どもたちの笑顔と、遺された「紫陽花」の名に込められた願いが、再び家族を照らしていく。 淡い季節の光と線香の煙、そして紫陽花の花が織りなす、静かで優しい追憶の物語。 『紫陽花』他、花の名前を冠したオムニバスストーリー。