短編集そのニ。私は独りでなくてはならない。万人の笑顔のために、私は不幸でなくてはならない。 誰にも愛されない人生よりも、誰もが祝福する最期を望み生きる。
円環の終焉から15年――。今様々なストーリーが動き出す これは残酷劇を終えた後の夜想曲
物語作家七夕ハル。 略歴:地獄一丁目小学校卒業。爆裂男塾中学校卒業。シーザー高校卒業。アルハンブラ大学卒業。 受賞歴:第1億2千万回虻ちゃん文学賞準入選。第1回バルタザール物語賞大賞。 初代新世界文章協会会長。 世界を哲学する。私の世界はどれほど傷つこうとも、大樹となるだろう。ユグドラシルに似ている。黄昏に全て燃え尽くされようとも、私は進み続ける。かつての物語作家のように。私の考えは、やがて闇に至る。それでも、光は天から降ってくるだろう。 twitter:tanabataharu4 ホームページ「物語作家七夕ハル 救いの物語」 URL:http://tanabataharu.net/wp/
とある流行作家のエッセイを読んで、洋介は衝撃を受けた。林廣次というその作家の名前は知っていたが、推理小説が苦手なので今まで作品を読んだことはなかった。したがって、行きつけの本屋でそのエッセイを手に取ったのは、まったくの偶然だった......
超・占星術師 鈴木寿留女が「数百年に一度巡り会うかどうかという奇跡の関係」とまで言い放った完璧な相性のカップルが今、誕生する。その瞬間を見届けようと、彼らを引き合わせた木之元数子らは草陰から息を殺し見守っていた。様々な難局を乗り越え、やがて男女が運命の出会いを果たす。
四〇ワットの裸電球が明滅する三畳の小部屋に集まった、ゼニゴケ、ナメクジ、カマドウマ、ゴキブリ。人間から忌み嫌われ、虐げられたものたちの哀しきモノローグが交錯する。そこへ、堂々たる貫禄のビッグ・ボスが登場。座は張り詰めた空気に包まれる。
その日、わたしが乗りこんだのはフレンドリー特急だった。「あれっ、その靴いつ買ったの?」初対面の若者が突然わたしに話しかけてきた。心の距離感が、いきなりにして近いな、と感じた。しかし、ここはフレンドリー特急。郷には入れば郷に従えである。
面白半分で「山本ホイホイ」というのを買って流しの脇に置いておいたら、入るわ、入るわ、今日になって見ると、五人もの山本が捕獲されていた。由々しき事態である。こわいもの見たさで中を覗き込んで見ると、なんのことはない、全員が知っている顔である。
なぜ、今この時代にフンコロガシは糞を転がすのか。糞を転がさなければならなかったのか。フンコロガシが自らの使命を語り尽くす独占インタビュー。
ものすごい暴れ方をするフィットネスマシーンに乗った瞬間、私は窓を突き破り、隣家の庭まで弾き飛ばされた。いつもそうだ。妻は肝心なことは何も言ってくれない。
ペナントレースの天王山。敵チームのしぶとい5番打者に対して、酢飯ブレーブスの捕手・塚本が投手に出したサインは、外角低めのトロ。しかし、エースナンバーをつけた浅利は首を振る。自らの決め球である、カッパ巻きに拘泥していたのだ。
博多では、ついにめんたいこが禁止された。日常の閉塞感からめんたいこがどうしてもやめられず、ついこっそりと食べてしまうカズノリは、その様子を覆面パトカーに発見されてしまう。尋問する警察官の声はどこかで聞き覚えのある声だった——。
天才発明家・真辺誠四郎。自ら「今世紀最大の発明」という、『革命ソース』がついに完成した。どんな野菜をもおいしくしてしまうという、その革新的なソースとは……。
取り巻きらが異常に気をつかうピリピリしたムードの中、スタジオ入りした声優界のドン西園寺。脇を固める演者らが無難にテイクを重ねる中、西園寺は満を持して、自らのセリフを放つ。
萱島太一18歳。今年の春から大学生としての生活がスタートする。上京することに大きな不安と大きな期待が入り交じりながら、新生活の準備を始めていた。大好きなバットとグローブ、新しい鞄に新しい手帳。全てが青春の一欠片となっていく。