『 ため息の穴 』
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ある日、僕の家の庭に真っ黒で小さい穴がぽっかりと開いた。
テストが悪い点数だった僕は、ついつい穴を見ながら深いため息。
「はぁ」
するとどうだろう。
そのため息が、黒い穴に吸い込まれていくじゃないか。
なんだか気分もスッキリした。
あれは、そういう穴だったんだ。
それからというもの、何か嫌な事があったら穴にため息をつく事にした。
あそこにため息をついた後は、どんな時でもとてもスッキリできた。
数年経ったある時、僕の家が傾いている事に気付いた。
業者に調べて貰ったところ、庭が酷く陥没してしまっているらしい。
「……まさか」
僕の長年のため息を溜めこんだ庭は、かなり落ち込んでしまったようだ。
『 ため息の穴 』