私の名前は萩原喜美。いま三十五歳で、チェロの教師をもう十一年以上やっています。「ヨシミ」という名前は、確かに男には少し珍しいかもしれませんね。私の母は、生まれてくる子供が、女の子だと信じて疑わなかったそうです。男の名前は用意していなかったので、そのまま女の子に付けるつもりだった、喜美という名前を私に与えたそうです。……
加代子は銀座にある花屋で働いている。 冬のある日、彼女は街で美味しそうなロールケーキを目にするが、店のドアを開くことができない。
人間の視覚はほんとうに正しいのだろうか? メガネをかけている「僕」は、ある恋人との別れがきっかけで自分の視覚を疑うようになった。 失恋した「僕」は、仕事に励み、新たな恋人を作るが、生活のバランスが徐々に崩れてゆく。
超リアルで悲惨、とても気色悪い「遭難の現実!」 オカルト・ミステリータッチで書き起こしました。 怖いですよ~、不気味ですよ~。 絶対に「遭難してはいけません」
国籍不明の詩人、カルディ・イケリを研究していた父の元、オーストラリアで生まれた本庄夏雪。高校生の時に父を亡くし、やがて父の跡を継ぐという志を胸に大学に入学する。大学三年の冬、大学の書店で人工知能が書いたとされる小説を手に取った夏雪は、そこに隠された暗号に気がつく。