詩人は誰も守れない

荒野に雪が降りそそぐ

詩人は誰も守れない

雪は病室のひとかけら

詩人は誰も守れない

夜を知らない太陽に

子守唄を教えても仕方がない

夜しか知らない電灯に

朝の憂鬱はわからない

季節が私に接吻(くちづけ)するたび

空を見るのがつらくなる

詩人は誰も守れない

..................

(歔欷)

私は私すら守れないが

守れないとて傷付けはしない

夜は等しく看病しに訪(おとな)う

詩人はその魂をただ刹那に捧ぐために血を流す

私は詩人であり

お前のように医者ではないのだ

お前のようにはなれなくてもよい

私は

ただ私は

詩を書かなければいけない

ああきょうも

私は誰も守れない

詩人は誰も守れない

詩人は誰も守れない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-31

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