詩人は誰も守れない
荒野に雪が降りそそぐ
詩人は誰も守れない
雪は病室のひとかけら
詩人は誰も守れない
夜を知らない太陽に
子守唄を教えても仕方がない
夜しか知らない電灯に
朝の憂鬱はわからない
季節が私に接吻(くちづけ)するたび
空を見るのがつらくなる
詩人は誰も守れない
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(歔欷)
私は私すら守れないが
守れないとて傷付けはしない
夜は等しく看病しに訪(おとな)う
詩人はその魂をただ刹那に捧ぐために血を流す
私は詩人であり
お前のように医者ではないのだ
お前のようにはなれなくてもよい
私は
ただ私は
詩を書かなければいけない
ああきょうも
私は誰も守れない
詩人は誰も守れない