クウコウ

プロペラのない飛行機は嫌い。

 もう遅刻する。これはもう飛行機に間に合わない。絶対に。時には君もそう思うだろ。タクシーとかバスとかモノレールとか真っ直ぐ直進に進めばどれだけ良いだろうと。しかし、それが理由で僕が遅れそうな事になったのではなく。ただたんに、ああ、そうさ、寝坊だ。寝坊によって、夜更かしによって遅刻しそうって事なんだ。
 カゲガ鳴る。
 レレレレレ。
 雲は灰色だった。空はシルバーの息。排気ガスとは違う。そんか空的な色。僕は小さい頃に悪い事をした。先生は僕が嫌いと言った。友だちもみんな嫌いと言った。僕はなるほど、と思った。そして、それは仕方がない事だと思った。誰だって嫌いなものはある。海ぶどうのプチプチとか、きな粉が滑らか過ぎる部分とか口溶けの宜しいチョコレートとか。けど、ある1人の生徒がボクは好きだなと言う。その彼の一言で先生と友だちはイヤそうな表情を作り彼を見た。何故? 何故? 何故? 疑問が募ったらしい。先生は言った「じゃあ、立って説明してよ」
 テテテテテ。
 お粥が鳴る。
 ライト兄弟が今日の空港を見てどう思うだろうか? 狭いとか、好きに飛べないのか、機内食マズ。とか文句を言い怒る事はあるんだろうか? きっと無いな。
 目ヤニの凄い猫が居た。空港の近くにあるコンビニに。声は出さず、尻尾も振らず、威嚇もせず、せず、せず、せず、舌を出して前脚の毛を舐めていた。僕はホットドッグの切れ端を投げつけた。猫は反応せず、僕を見た。
 腕時計を見る。ゲートに到着するのはギリギリだろう、で、ヤヤヤヤ。ジェット気流。

クウコウ

クウコウ

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-30

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