ここを破られると対処しようのない事象がある。その程度ならまだ行ける場合はいい。まだもう一段あり、それで何とかしのげることもある。
ある錯覚のようなものを、この世の常識外のことと関連付けて考えてしまう場合がある。
怪しい場所を求め、うろついている高橋は、これというネタがないときは寺社参りをしている。
「毎日通っている喫茶店のアイスコーヒーなんだがね」
「これは悪夢だと思います」
街道は繁みの中に入ると視界が狭くなる。一人の武者がのんびりと歩いている。
「スプーンを念力で曲げる力があるのなら、人の心臓など一ひねりだろう。喉を絞めるのもわけのないこと」
「プライベートとは何でしょうか」
木下は友人宅を訪ねるのを趣味としていた。
「妖怪博士、本日は何か妖怪の話をしてもらえませんか」