「弓折れ矢尽きる」ではないが、骨の折れたビニール傘が落ちている。
自宅で自営業の立花は自転車散歩中、神社に立ち寄った。ちょっと休憩するためだ。
「あらぬものですか」 妖怪博士付きの編集者が来ている。 「そうじゃ、あらぬものじゃ」
青空が広がっている。雲一つないと流石に爽やかすぎる。清すぎるのだろうか。
妖怪博士の家に老人が訪ねて来た。老人は何処で妖怪博士のことを知ったのだろう。
子供の頃食べたものは長く尾を引くようだ。同じものを大人になってから食べても、それと比べてしまう。
「熱意って何でしょうか。最近熱心に何かをやろうという気が起きないのです」
妖怪博士は住宅地を歩いている。
急に強い風が吹き、黒い雲が増えている。動いているように見える。雨が降り出すのだろうか。
「夕暮れ時、何か出そうな雰囲気がします」