恋人はサンタクロース。
以前書いた「夜明け頃には」の別視点です。
こんな夢を見た。
たとえどんな返事が来ようとも、その言葉をすべて聞き終える前にその唇を塞ぐつもりだった。
房子は凶器に刺し貫かれる悪夢にここのところ悩まされていた。そんな精神状態の彼女は年下の大学生、宏之と出会い、互いに惹かれ合う。房子には夫がありながら。
私を好きだと言って。私をかわいいと言って。先輩がそう言ってくれるように願う、願ってやまない。
この胸の内にわだかまるいらいらをどうにかしたくてしょうがない。
水滴がスカートの裾について、模様みたいだった。
目に映える赤いワンピースが印象に残っていた。
彼の腕の中で考えていることは一つじゃない。