タイの夜行列車が闇を切り裂く――。 逃亡犯、謎のレディボーイ、毒殺、連続殺人。 蜘蛛の入れ墨が示す先は、巨大な人身売買組織の心臓部だった。 日本人刑事・坂本と通訳リサは、チェンマイへ向かう寝台特急9列車の中で、 次々と姿を変えて迫る“真実”に追い詰められていく。 幽霊伝説が囁かれるクンタントンネルの闇、 そして情婦ニーナが秘めた過去と復讐の炎。 USBに記された少女たちの名が、 やがて闇の帝国を揺るがす引き金となる。 疾走する列車とともに暴かれる陰謀、すれ違う正義、交錯する欲望。 終着駅にたどり着くとき、あなたはまだ“真実”を信じられるか――。(全7話)
《出口抜け空港――存在への不安》 逃げるか、残るか、なんて関係ない。 ある日―― この現実の織り目の隙間を、覗いてしまった、その瞬間 その時点で――気付く前に、 抗えぬ力に引き寄せられ、必ず吸い込まれる。