妻はグラドル 第二話
おはようございます。第二話のお届けです。夫婦水入らずの時間が流れます。夫涼介の幸せな日々。お楽しみに。
第二話
「妻はグラドル」
第二話
堀川士朗
「山田明子さん」
「本名で呼ばないで。しかも旧姓で」
「あいん。僕らには子供がいない。いなくて正解なのかも知れない」
「ん?」
「サイバー牛乳が飲みたい」
「何それ」
「あいん。買ってきて」
「ない。そんな変なの売ってない。ねえなんかさ涼介って時折変な事言うよね。頭大丈夫?」
「大丈夫じゃない。僕は狂ってる」
「そうだね」
「夕飯の支度をするよ」
「うん」
手料理は夫の涼介が毎回作る。
テーブルの上にたくさんの大皿料理を並べ、夫涼介はニコニコ微笑んでいる。
「また今日もこんなに作ったの?」
「え?」
「撮影会近いんだよ、こんなに食べれないよ太っちゃう!撮影三日前は食物繊維ウエハースしかいらないって何度も何度も言ってんでしょ?」
「あ。あ」
「いらない。ごちそうさま」
「あ。あ。あ」
「もうストレッチして寝る。私の部屋に入ってこないでね。鍵かけとくからね」
「……うん。ごめん」
あーあ。
ギンギライチャイチャパラダイスしたかったな。
このまま
目をつぶったら
死んでしまうのではないか
違和感の
夜
涼介は切なさのあまり、独りっきりのベッドの上で五行歌を詠んだ。
休日。
今日は久しぶりに夫婦水入らずのデートの日。
横浜元町を散策し、中華街でコースの料理も楽しんだ二人。
道行く人の何人かは、涼介が連れているのがグラビアアイドルの篠咲あいんだと気付き視線を送っていた。
帰宅するともう夜だった。
「Tiker Toking観たよ」
「観たの?」
「バズってたね」
「うん。やだった?」
「別に。ねえヒマだからベッドいこ」
「行かない」
「何だよー」
「うふふ」
夏のある日。
涼介は腕をさすっている。
「あれー。虫はコネーズやってんのになー」
「ん?」
「虫に刺されたよ。蚊がいる。網戸閉めてるのにな」
「私はまだこの夏は蚊にかまれてない」
「かまれるって言うの関西圏だけらしいよ」
「そうなんだ」
「あいん神戸出身だもんね」
「そうやで」
「痒い」
「ムッフィ塗っとけば?」
「もう塗った。はひょ~ってなった。日本一ムッフィが似合う男だよ僕は」
「二酸化炭素いっぱい出してる人は蚊に刺されやすいって言うよね」
「そうなの?」
「高校の授業で言ってた」
「へー」
「呼吸止めれば?」
「死んじゃうよ!」
「そんな簡単に死んじゃうんだ」
「うん。人間は簡単に死んじゃうんだよ。ねえ脇の匂いかいでよ」
「何で?」
「良いから」
「脇毛生えてますね」
「生えてるよ~」
「じっと見る事ないからな」
「そうかい」
「クンクン」
「どう?」
「おすの匂いがする」
「酸っぱい?」
「いや、雄の匂いって事」
「そうか。君の匂いもかぎたい」
「やめてよ。脇はやめて!処理も甘いし」
「ふふふ。甘さを突く」
「やめてや」
ベッド。
「ガッてやんないでね」
「分かった」
その日仲の良かった二人は珍しくいっぱい愛し合った。
涼介は幸せだった。
続く
妻はグラドル 第二話
ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。