この世界“フェル・アルム”では、平穏無事な日常が続いていくはずだったのに……。 北方の 高原に住む羊飼いの少年が、銀髪の少女と出会ったことから、運命は廻りはじめ、やがて世界創造の秘密が明らかになる。 だが世界では徐々に歪みが生じ、崩壊 への道を歩み始めていたのだ――! 大気杜弥が綴る、大長編ファンタジー作。
夢とか目的とかそんなもの事後報告だ。やる奴が結局勝つのだが、私は精神病になった。 私は以前は頑張れる人間だった。でも、いまはどうだろう。自堕落の極みではないか。 いのちを思い出せば、また戦える。
私がなぜ精神病になったか、それは自己を見つめすぎたから。 私がなぜ破滅したのか、それは身を清めず神に祈らなかったから。 この経験を言葉にしたかった。
1860年 二十歳のオディロン=ルドンは、知己の植物学者の顕微鏡で、現在のタジキスタンに分布する龍舌蘭を観察していた。その根についていた「砂」が、ルドンの眼におぞましい世界を見せたようだ。1878年「眼-気球」という黒一色の絵以後30年にわたり、ルドンの絵画から色が消えた。
戦前から「嫌悪の坩堝」と呼ばれた風の街、『赤江』。 差別と貧困に苦しみながらも前だけを見つめる藤代友穂と、彼女を愛する伊澄銀一の若き日の物語。 この街で起きた殺人事件を発端に、銀一達とヤクザ、果てはこの国の裏側で暗躍する地下組織までもが入り乱れ、暴力の嵐が吹き荒れる! 前作『芥川繭子という理由』に登場した人物達の、親世代のストーリーです。 直接的な性描写はありませんが、それを思わせる記述と、残酷な描写が出て来ます。