22日のオキザリス

薄荷色の爪先が
カタバミを蹴とばした

間に合うように
薄紫色を探しに行こう

つぼみのかたちを知らないけれど
ムクゲの白は胸を衝く


勘違いをしていたみたいだ
真っ当に夢見たつもりでさ

茹だったままの理想論じゃ
今頃太陽を追い越している

辛いも悲しいもないんだね
塵にもならないことばには

裏切られたんだと嘆くにも
どうにも愛想が足りてない


熱帯夜に沈んだ影を見捨てたことを
知っているのは今朝の逃げ水だけだ


水中には程遠い、
耳鳴りがゆらぎが止まないんだ

まとわりついた湿度の中で
深呼吸の仕方を教えてくれよ


そろそろと

追いかけてくる

黒い時間がやってくる

逃げ出そう
間に合うように

薄紫色をつかまえて
逃げよう

22日のオキザリス

22日のオキザリス

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-08-04

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