宮本家の十二代に亘るその遺伝子は、やはり秀でた遺伝子と言わざるを得ない。この一族と接した著名な人々を列挙すれば、江戸時代以降から昭和の時代まで、佐久間象山・葛飾北斎・渋沢啓三・正岡子規・夏目漱石・更にその教え子の中には、筑波大学の学長となった阿南功一や医科歯科大学の清水学長など、学問に向かい合った人々がいる。その宮本家350年の十二代に亘る世代を通して、どのようにその遺伝子が磨かれたのかを掘り起こした物語である。
野球少年だった主人公中田歩は、ふとしたことから自分が進むべき道を悩み始める。 先が見えない未来。 答えを迫られ惰性で言ってしまった夢。意地を通すための上京。そして再会。 人は言う。溢れる才能と美貌を生かせと。 しかしそれは歩にとって、虚しさでしか過ぎなかった。 繰り返される自問自答。 そんな矢先、歩は一人の女性と出会い、やっと抱きつづけていた難問の答えを見出すのだった。