世の中に絶望し、死んだように生きてきた男が世界の管理者である神によって魑魅魍魎が跋扈し弱者が食い荒らされる世界に送り込まれた。 男はここで化け物の生贄になることを求められ、死ぬことを望んでいた男もそれで良かった。けれど、様々な要因が重なって化け物を倒して不死の呪いをその身に受けてしまう。死ぬに死ねなくなった男は、仕方ないので自分を殺せるほどの敵を探し求めて旅立つ。 これは、死にたがりの男の軌跡にして、後の世で語られる英雄譚。
掌編と言うより、掌編の一歩手前、掌編の『種』ならぬ言わば『苗』と言ったところです。 『間違った祈り』『竜殺し』『かぼちゃの巨人』『紙飛行機』『兎を一羽二羽と数える理由』『厄介な事件』の六本。 合計で3014文字。
最近、おかしな夢を見る少女・蘭遙(ランヨウ)。 彼女は、国王が権力を奮う国、昌麗国(ショウレイコク)の首都・珱(ヨウ)に住む、齢17の少女。 昌麗国の税の取り立ては厳しく、国王に見放された村もあり、決して全員が幸せと言えるような国ではなかった。 そんな昌麗国で両親が営む食事店の看板娘である蘭遙が想いを寄せるのは、ごくたまに訪れてくる青年・紫苑(シオン)。 齢26の彼は、蘭遙を妹としてしか見てくれず蘭遙は頭を悩ませていた。 そんな蘭遙に毎日ちょっかいをかけてくるのは、隣の家に住む青年・燕斉(エンセイ)。 紫苑と同い年で、蘭遙が紫苑のことを好きだということも知っている。 蘭遙18才の誕生日。 祝いに来てくれた紫苑に、想いを告げた蘭遙。 しかし返事はうやむやのまま、“あの時”を迎えた───…。
短編集そのニ。私は独りでなくてはならない。万人の笑顔のために、私は不幸でなくてはならない。 誰にも愛されない人生よりも、誰もが祝福する最期を望み生きる。
円環の終焉から15年――。今様々なストーリーが動き出す これは残酷劇を終えた後の夜想曲
物語作家七夕ハル。 略歴:地獄一丁目小学校卒業。爆裂男塾中学校卒業。シーザー高校卒業。アルハンブラ大学卒業。 受賞歴:第1億2千万回虻ちゃん文学賞準入選。第1回バルタザール物語賞大賞。 初代新世界文章協会会長。 世界を哲学する。私の世界はどれほど傷つこうとも、大樹となるだろう。ユグドラシルに似ている。黄昏に全て燃え尽くされようとも、私は進み続ける。かつての物語作家のように。私の考えは、やがて闇に至る。それでも、光は天から降ってくるだろう。 twitter:tanabataharu4 ホームページ「物語作家七夕ハル 救いの物語」 URL:http://tanabataharu.net/wp/
とある流行作家のエッセイを読んで、洋介は衝撃を受けた。林廣次というその作家の名前は知っていたが、推理小説が苦手なので今まで作品を読んだことはなかった。したがって、行きつけの本屋でそのエッセイを手に取ったのは、まったくの偶然だった......
超・占星術師 鈴木寿留女が「数百年に一度巡り会うかどうかという奇跡の関係」とまで言い放った完璧な相性のカップルが今、誕生する。その瞬間を見届けようと、彼らを引き合わせた木之元数子らは草陰から息を殺し見守っていた。様々な難局を乗り越え、やがて男女が運命の出会いを果たす。
四〇ワットの裸電球が明滅する三畳の小部屋に集まった、ゼニゴケ、ナメクジ、カマドウマ、ゴキブリ。人間から忌み嫌われ、虐げられたものたちの哀しきモノローグが交錯する。そこへ、堂々たる貫禄のビッグ・ボスが登場。座は張り詰めた空気に包まれる。
その日、わたしが乗りこんだのはフレンドリー特急だった。「あれっ、その靴いつ買ったの?」初対面の若者が突然わたしに話しかけてきた。心の距離感が、いきなりにして近いな、と感じた。しかし、ここはフレンドリー特急。郷には入れば郷に従えである。
面白半分で「山本ホイホイ」というのを買って流しの脇に置いておいたら、入るわ、入るわ、今日になって見ると、五人もの山本が捕獲されていた。由々しき事態である。こわいもの見たさで中を覗き込んで見ると、なんのことはない、全員が知っている顔である。