「生き伸びる秘訣は好奇心ですなあ」
「思い付かないということが、怪談に繋がることがありますなあ」
「何か刺激が欲しかったのです。変化が欲しかったのです」
「寝坊って何でしょう」妖怪博士付きの編集者が聞く。
これはたまにあることで、そのときのショックはかなりある。命に関わることではなく、またひどい目に遭うようなことでもないが、あると思っていたものがないときの、何とも言えない間がある。
「番頭で思い浮かべるのは晩冬でねえ」
青木は世話になった会社の先輩を訪ねた。親子ほど年が違い、今は退職し、一人暮らしだ。
「最近、異界巡りはしないのですか」
「昔からねえ、不思議な存在の人がいたんだよ」
「最近映画を見ますか?」