不思議なショートストーリー
見ているようで見ていないもの。見ていないようで見えているもの。日常に潜んでいる小さな事柄を、掌編小説にしています。どうぞお楽しみください。
真歩は、ボートを漕ぎながら、友達のモーターボートや、屋形船を羨ましげに眺めていた。 同じボートなのに、どうしてこんなに違うんだろう。やっぱりあの子の船の方が早く海に辿り着くのかな。
もう、保育園には遊びにいかない、と娘は言った。 保育園、いやになったの?と私が聞くと、少し黙ってから、「だって、はずかしいもん」といった。
なにかいいことありそうだなと期待した、少女の夏。
6日間の入院生活と、一周間の実家での療養生活の記録。
2011年8月2日。右葉甲状腺の摘出手術をした伊藤病院での1日。
2011年8月1日。私は、右葉甲状腺摘出手術をするために、伊藤病院に入院しました。
真っ黒い夜空に浮かんだ明るい月を見ていると、いろんな模様が見えてきます。
「さっき何話してたの?」ときいたら、娘は、「大人には内緒の話」といって、にっと笑った。
ひまわりと一緒に生きていることを誇りに思っていた、小学校4年生の夏の物語。
煤けた彼女の、喜怒哀楽が抜けたような顔を見たとき、なぜか自分まで魂を搾り取られていくような気がした。