大人には内緒

夕方保育園のお迎えの時に、近所に住む男の子と一緒になった。
私の自転車を追い抜いて、二人はどんどん走っていく。
「向こうで合流しようぜ」
娘は男の子に自分の自転車を見せたいようだった。
息を切らして駐輪場へいくと、別のルートから男の子が走ってきた。しばらく、二人でやんやとやっていて、駐輪場から出ていった。
マンションのエントランスで娘が「まって」と男の子を呼び止めた。
娘がささやくように男の子に話しかけると、男の子は、いいよ、頷いて、手を振った。

エレベーターの中で、私が「さっき何話してたの?」ときいたら、娘は、「大人には内緒の話」といって、にっと笑った。


「明日はバレンタインだね」
私は荷物を片付ける手をとめず、娘の顔も観ずに「うちはもう終わったでしょ」といった。
「でも保育園には、チョコ持ってっちゃいけないんだよー」
と、娘は得意げに笑った。

大人には内緒

大人には内緒

「さっき何話してたの?」ときいたら、娘は、「大人には内緒の話」といって、にっと笑った。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-14

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