十五夜のお月様に何が見える?

秋の十五夜はの満月は、食べごろのグレープフルーツのようにぷっくりと大く円い月でした。
少し涼しくなってきたので、私と主人と4歳の娘は、お団子とお茶を持って、近所の公園へ行き、ベンチに座って月を眺めました。

真っ黒い夜空に浮かんだ明るい月を見ていると、いろんな模様が見えてきます。

「ウサギが餅つきしているの」
「かにさんみたいだね」

いろいろ話しているうちに、私は満月の日に起こったことを次々に思い出しました。

娘が産まれた日は、こんなふうに満月のきれいな夜だったのです。

「すごく寒い日だったのよ。パパが帰って来るちょっと前から、お腹がちょっとずつ痛くなってきて、どんどん痛くなってきてね。パパに電話したら急いで帰って来て、車で病院に連れていってくれたの。もう1人で歩けないくらい痛かったわ。でも車の窓から大きな満月が微笑んでいた。大丈夫だよって」

それから夜通しきれいなお月様とともに陣痛に耐えて、娘が産まれた朝方までのことを娘に話してあげました。
娘は、とても感慨深い顔をして言いました。

「私が産まれてくるのを、お月様が応援してくれたんだね」

甘いお団子をかじりながら、いろんな思い出がお月様の円い画面に映し出されていくようでした。

十五夜のお月様に何が見える?

十五夜のお月様に何が見える?

真っ黒い夜空に浮かんだ明るい月を見ていると、いろんな模様が見えてきます。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-15

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