初作の『友だちを殺した』と共に、作者の出生の本懐といえるものです。 世間を震撼させた「多摩川・中学生虐殺事件」に衝撃を受け、日本社会に警鐘を鳴らしたくて書きました。 時間のないかたは、後半~末尾にかけての主人公の「独白」をごらんください。 社会のあり方、人間の人間たる倫理正義・矜持襟度・慈悲情愛の大切さを、死をもって訴える場面です。 問題提起の性格上、過激・苛烈な表現があります。 2015年。作順では5番目。
しがない作家をしている山崎は、その日も人間観察の為街に出た。 そこで出会った英国紳士風の男は死神を名乗り――。
WEB上でにわかに信じがたい噂が飛び交うようになったのは、去年の暮からだった。 僕は学校の友人の前川とスカイプで他愛のない会話をしながら、PCで来週提出しなければならないレポートを書き上げていた。唐突に前川が、そういえばさ、おまえ『指切りハッカー』の噂みたかよ。と言い出したのだった。 「いったい何だよ、それ。ハッカーが指切りげんまんとか言って約束した後、特定の人物に制裁でも加えてくれんのか?」 レポートに行き詰まり、ヘッドセットを有線から無線に切り替え、コーヒーを作りに台所へ僕は向かった。 「そんな生ぬりぃ話じゃねぇよ。今、匿名掲示板で流行ってる話なんだけどよ。どうやら目に余る誹謗中傷をしてるやつらの指を全部切り取っちまうって話だぞ。」
欠けている場所が目立つか否か。 私と、あなたがたとの違いは、ただそれだけ。 『皆、欠落人間。 それで、いいじゃないか。』