まだ暑いのだが、トンボが飛んでいる。岩下はこれを見ると、秋が来たことを知る。
「季節はやはり夏ですか」 「名残惜しいですが、もう去りますなあ」
市街地を流れる川。それに沿って柳通りと地元の人が呼んでいる道路がある。
一昔前には梅干しババアと呼ばれる高齢女性がいた。最近あまり聞かない。
あと一歩のところで遮断機が鳴った。
「最近、海を見ましたか?」
雨が降っている。 「この雨で夏は去りましょう」
長い夢を見ていた。
増田はとあるグループに参加し、そのリーダーから「君は井の中の蛙、大海を知らずだ」と言われた。
「おや、あの人は」 富田は見覚えのある人が自転車で走っているのを見た。