ノヴィ・カニィ

ノヴィ・カニィ

透明ー存在なき存在としてー

カウンセリングのように悩みを打ち明ける部屋に赴く僕。深い皺が刻まれた老人が応えてくれる。 けれど、それがいつもとは何かが異なる。 ぼくは僕を話しているはずなのに、老人の彼は僕ではない何かと話しているかのように、噛み合ない。かみ合っていると思う僕と訝る僕。 若く、そして平凡だと、それを長年願っていた僕は面倒から避け、波風を立てないように引きこもっていた、溶け込もうとしているだけであったこと。 深い皺が刻まれた老人は、その「僕」の仮面の下にいる、自分自身を露にするために尽力尽くしていた僕自身の一部であった。

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バラ

花屋に勤める少年。 一輪のバラが捨てられた。少年は、なぜ捨てたのかを店主に問いかける。 その返答は、全く少年にはわからなかった。 少年にはバラは総称のバラではなく、一つ一つ違う存在として見えている。 それは大人にはわからない。 そんな扱いで自身もバラもいないように感じてしまっている少年。一つを聴ける心の者の話し。

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お届けもの

その日は、疲れていて、またどこにもぶつけられない苛立ちに覆われていた。自分のその雰囲気が重々しいと言うことは分かっていても、それを納めるのは寝入ることしかその時は思いつかなかった。 その夢での話し。 夢で僕は知らないけれど、友人と一緒に堤防にいた。夜とも昼ともどちらとも分からない世界で。そこはよく知った所。 そこに対岸から、これもまた知らないけれど、友達が近づいてくる。楽しげに。しかしそれが僕には厭でたまらなかった。その友達の手にはそこで拾った古いお札があったから。 けれど、自分ちに止まるという流れは遮れずに、みな自分ちに止まった。深夜3時の出来事。 チャイムが鳴り、背筋が凍って、、、。 起きた時、夢で終わらなかったお話。

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静かな樹と僕

住んでる街のある樹があった。それが前触れもなく切られた。梅雨の時期は雨雲で空はどんよりして、そこに、彼女は立っていた。しかし、切られ、なくなった。しかし、、、彼女は、いつまでもいるということ。

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リアルすぎる夢

夢での体験。 それは夢幻とよくいうけれど、実体験のように、毎度襲ってくる。 遠く離れた香川県の丸山精神病院という。 小学校のような建物の病院に、僕はいる。なにか医者は、心ここにあらずで、適当に僕に訊いてくる。 嫌気がさした僕は、建物内をなんの気なしに歩く。各部屋には、色んな医師が授業のようにしていたが、それがどこか異質を覚えさせた。 いつの間にやら、廃墟となった建物に入っていた。そこでもっとも恐ろしい女性が、ただ一人佇んで・・・。

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誘い

久々の休日を一人でショッピングをして楽しんでいた彼女。 人ごみに交じり、昔の彼氏の姿を見かける。それはありえないことだった。遠い昔にすでになくなっているのだから。 しかしそのはっきりした、彼の後姿から視線を外すことができずに、追いかけてしまう。付き合っていた頃に、よく二人で歩いた道であることで、彼女はどんどんついていく。 そして、小道に入ったそこで、見かけない駐車場へとたどり着く。そこに彼の姿は見当たらない。そして、彼女は怖くなり逃げ出す。 この出来事を聞いた後、彼女の行方はわからなくなってしまった。

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夜の蝶

夜の街灯に戯れる虫をみて、たずねる彼女。 蛾か蝶か。 そんなたわいもない会話から、自分の変化や魅力というものについて不安に思う彼女。 変わらない世界があるのかもしれないとネバーランドいう少しメルヘンに落とす僕。

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三造士

森の中に善人が一人いました。その時は、周りの草木や小動物などとも話せていました。 新月と満月のとき、善人は胸の内になにかもやもやを感じていました。 しかし善人は森の中で、同じ姿のものに出合い、どんどんと出会い、集落をつくります。そこに住んでいた生き物たちはびっくりしました。そうしてより良い生活のためにいろんなことをしていきます。塀をつくったり、もやもやが気にならなくなったことで夜遅くまで活動できるようになったりと。 ある善人がまた森で人に出合い自分たちの集落に誘ったが、断られたと騒ぎます。その人は森が作り出した「キジン」だと叫ばれるようになりました。 そして、食べ物の分け前で、トラブルが起き「悪人」がでました。 集落にいたある者―「キジン」は、一連の出来事を書いて集落を去ります。それはのちに文献になるものです。

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納涼にどうぞ

真夏。 涼しさを求めていろんな方法が探される。その一つにホラーがある。 それをお話しすることで、納涼になれば幸いです。 そう語り口が進みます。 その合間に、”僕”の体験談がとぎれとぎれにはさんで進んでいきます。 よく出るというホテルへ、友人は周りの鼻を折ってやろうと出向いてしまったのです。 阻止するために”僕”は階段を走り、そのホテルの部屋へと向かいます。そして向かった浴室にで、”僕”は体験してしまいます。 ホラーという求心力を人は覗いてしまうのです。

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ゴキブリ

ゴキブリは自分たちの歴史を振り返る。 そして、新たな住処で起こっている、異様さについて、語る。 それは自分たちは常に訳も分からぬまま悪で、迫害を受けていると。 しかし、迫害を受けている自分たちよりも、加えている人のようが、窮地に立たされているように感じている。 ゴキブリの想いをつらつらと語る噺。

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