幻想小説しか書けない愚者
蟲たちは人の世界を侵す。今はまだ人は人らしい生活を行えてはいるものの、微少な蟲たちは、けれども確かに人の住む場を喰い尽くしている。 テーマは「浸食」。やがて人は住む場を失い、蟲たちにとって変わってしまう。 そんな「アイバミ」
腕の花は緩やかに全身を廻る毒のように、しかしその可憐さは一人の少女を魅了した。 彼女は花を見て笑い、しかし花は彼女を見て何を思うのか。 二人の間に私は立つ。花の香りと魅了された娘との間を取り持ち、しかし確かにその香りに誘われていた。
二人は悪魔の息子と娘。四つ子のはずが一人は流れ、一人は行方も知らず、二人きり。 母はいない、二人がまだ幼いときに病気で死んでしまった。父は知らない、顔も名前も声も、何もかもがわからない。 義理の父は優しいけれど、その妻は二人を恨んでいる。それにもめげず、二人は大きく成長した。