それは9月の事だった。入学して半年、高校生活にも慣れてきた。友達も出来たし、居場所らしきものもあった。 彼女の生活は凡庸だった。起伏の薄い、昨日と今日が繋がっているに過ぎない日々。おおむね満足だった。 そんな訳でその日、死んだはずの彼女の友達がテレビに映ったのを見た時も、大げさに騒ぎ立てる程の事ではなかった。
既存の宗教を全て一緒にしたような、哲学も道徳も全て合わせて、アウフヘーベンさせれば良いでは無いか!
多くの出会いと別れ、綺麗事ばかりでない経験もしながら、 さらに深く文芸のある人生と向き合う青春グラフィティ。 *2020年10月から連載中の作品です。現在第二十九章まで。次回(最終章)は2025年7月上旬公開予定です。
36歳で膠原病を発症し、ピアニストとしての道を断たれた 田中希代子が、その晩年にたどり着いた境地とはどのようなものであったのか。