
たとえ叶わない恋だとしても
どこかの誰かに恋い焦がれてる人にこの小説を捧げます。
#1
恋したのは一瞬だった。
諦めるのはかなり時間を消費した。
口先では諦めたって言っているけれど
実際は全然諦めきれてなくて
君に伝えたいことはたくさんあるのに
いざ目の前にすると、無理だった。
この関係が壊れるくらいなら
もう二度と今のように楽しく話せられなくなるのなら
だったら
こんな言葉も
いらないよね。
君は君で幸せになってね。
自分以外の素敵な人と。
________たとえ叶わない恋だとしても
#2
変わり映えのしない日常。
いつもの通学用の靴を履いて、家から出る。
自転車で駅まで向かい、定期券で電車に乗る。
その電車に乗り込むと、必ずいる人がいる。
大好きで、憎くて、触れたくなるような綺麗な横顔。
その人を見るたびに思う。
なぜ、なんで。
この人に恋をしてしまったのだろう。
なんで、好きになってしまったのだろう。
あの人には、もう他に想い人がいるのに。
それを知っているのに。
なぜ今も諦めきれないのだろう。
(…早く学校に着いてくれないかな。)
離れたくないのに、離れたくなる。
触れたいのに触れられない。
話しかけたいのに話しかけられない。
この気持ちを心のなかに押し込んで、音楽で誤魔化した。
心做しか、なんだか心の奥が息ができないみたいに苦しかった。
たとえ叶わない恋だとしても