リニアモーターカーの建設が、私がそびえ立つ東北州にまで進展してきたのに違いない。 当然、私の存在が邪魔になるだろう、という予感に打ち震えたが、何の抵抗もできない。 巨大なクレーンで釣り上げられ、根も土からはがされて、野原に無造作に転がされた。 しかも、ロボットアームの巨大な裁断機が、私の巨体を切り刻みだした。が、機械に超能力が通じるはずもなく、二千三百余年の寿命は風前の灯となった。激甚≪げきじん≫な痛さを感じ、ギィヤアー、ギィヤアー、ギィヤアー、ギィヤアー……と叫んだ。
俺は、暗くてジメジメしたトンネルらしき中を、前の人々に続いてビチャ、ビチャと木霊する長くてカビ臭い道を、黙々として歩いていた。 一連の出来事は、訳のわからぬ行進の為に疲労困憊している俺が、勝手に描いた希望だったのか、単なる幻想であったのか? それとも、未来の自分の行動の予知夢かは、神様、否、閻魔様のみぞ知る、である。
私の母らしき女性が、 「この子の魂と引き換えに、わたしの人生は薔薇色に輝くのね」 と、四度も繰り返し、死に神に念を押すかのように、独り言をつぶやいた。 ここで、映像と音は消えたばかりか、ミニノートパソコン自体も、跡形すらなく雲散霧消して、私を慌てさせた。もっと、続きを見たかったからである。しばらく、胸の動悸は治まらなかったが、沈着冷静な自分を取り戻して考えると、もしも、液晶画面が真実を映しているなら、ここにいる私は、存在していないか、あるいは、偽の自分なのだろうか? つまり、二歳の時から、はかない夢の世界を――本当の世界と思って、暮らしてきただけに過ぎないのだろうか? 異次元にいた女王が、どんなに言おうとも、揺るがない私の歴史観に従えば、過去のある時点で消滅した事象は、永久に復元出来ない。何か異変が起きそうな気配が、私の全身を包んだ。
閻魔大王と勉との話し合いで、地獄の近代化を推し進めていく。その過程で、勉は様々な提案をし実行していく。
混沌とうねる思念はやがて詩となり、編まれた詩はいずれクニを造る。世のどこかに浮かぶ「火のクニ」で伝わる、神話めいたいくつかの物語。 ……そのクニには暗闇がふたつ、ある。
ネガティブな男とポジティブな女ゾンビの掛け合いみたいなものを目指して書きました。ポジティブで明るく元気なゾンビの方が人間らしい形をイメージしています。
失恋した男が梅雨空の古刹、陰花寺懸想黄泉路第二六番札所で出会った一人の武闘派少女。敵か味方か?そもそも何の戦いなのか? そんな疑問は置き去りのまま、男は少女の戦いに巻き込まれ、怪しげな快感さえ感じるのであった。巻末にアウトかもしれない付録を収める。
奴隷の反乱。それ自体は各地で起こっているのは知っていたし、けれども私には関係のないものだと勝手に思っていた。 首謀者は、私と仲の良い子だった。子どもの頃に付けられた奴隷で、可愛らしい女の子だった。
2016年から2017年にかけて詠んだ短歌です。 Twitter @nanako_tanka #ななこ575
ぶどうをつまみ食いするカラスを襲った人生の転機です。 美作・湯郷温泉の発祥伝説にシラサギがあるのは本当ですが、ナスからし漬けはシラサギとは関係ありません。
交流祭最終日、ついにプロキオン騎士学校生徒会長のアフェランドラとの試合を迎えるロイド。 他の生徒会長らと比べると目立たず、好戦的でもない彼女はなぜかロイドとの試合を待ち望んでいた。 他の生徒会長を凌駕する彼女の力に、ロイドは持てる力の全てで挑む――
あるライダーさんのお話。 揺れほどけ、うねり悶え、乱れ流動し、寄せ狂い、泡立ち煮沸するようなものが書きたい。 おれ自身はもう、初期の作品を越えられない気がしてるのに、言葉が呼ぶのね。 「俺はここにいる」って。 自分は生まれてこのかた、いつも祖父母や両親・猫や友達に囲まれいて、今も嫁や親友や愛猫など、大切なものの只中にいる。 1人って何? 1人ぼっちってどうなるの? 生まれるのも1人。 …のも1人。 こわい。