夢をみたら、メモ帳を開いて、「おしまい」という文字が見えてくるまで、書いています。あまり、スジの無い話が多くなります。
相手に伝わらなかった伝言ほど、痕が残るものでしてね。同じチョークで、同じ強さで書いてあっても、すぐ消えるものとそうでないものがあるのです。それでも、時間がきたら、全部消してしまわなければならん。申し訳無いような気持ちになりましてな、つい手を合わせてしまいます。 そして、彼は伝言の復讐を受けることになった……
海へ行きませんか? 夏の海。波の音の聞こえる一室で一夜を過ごしませんか? そして、朝日の昇る前に砂浜を散歩したら、一番のバスで、別々の家に帰りませんか?
「いいっていいって。でも、こんなところにある石、よく見つけたね」 僕がそういうと、かをりとみづはさんとは顔を見合わせて笑った。 「錐島がそういうこと言う?」 「これを見つけるなら、多分錐島さんかなって、話してたんだよね」 信号は赤になり、集団から完全に取り残された僕達は、それからしばらく最近みかけたり、収集した、心惹かれるものについて話し合った。
1860年 二十歳のオディロン=ルドンは、知己の植物学者の顕微鏡で、現在のタジキスタンに分布する龍舌蘭を観察していた。その根についていた「砂」が、ルドンの眼におぞましい世界を見せたようだ。1878年「眼-気球」という黒一色の絵以後30年にわたり、ルドンの絵画から色が消えた。
「しゃべらせてよ、暇なんだから。」 クリスマスは恋人と過ごす、っていうかクリスマスを一緒にすごしたってことは、二人は恋人同士ってこと。出るとこ出て、食べるもの食べて、もらうものもらったら、やることやって、で、しばしのお別れ、年末へなだれ込んでるのよ。これ読んじゃったあなたは、もう駄目。絶対にそうなるから。元旦に年賀状送るね。そろそろ締め切り近いじゃない。筆ペンで。年に一回しか使わない筆ペンで年賀状。そうだ、今日は年賀状かいちゃおう。って、もう夕方じゃん。忙しいってのにまったく
クリスマスの夜。七面鳥を抱えて家路へのバスに乗る男。そのバスの運転手。バスの運転手が気にかけている路上の少女。その少女と境遇を同じくする少年。そんな人たちの灯す炎。