「いいっていいって。でも、こんなところにある石、よく見つけたね」 僕がそういうと、かをりとみづはさんとは顔を見合わせて笑った。 「錐島がそういうこと言う?」 「これを見つけるなら、多分錐島さんかなって、話してたんだよね」 信号は赤になり、集団から完全に取り残された僕達は、それからしばらく最近みかけたり、収集した、心惹かれるものについて話し合った。
「しゃべらせてよ、暇なんだから。」 クリスマスは恋人と過ごす、っていうかクリスマスを一緒にすごしたってことは、二人は恋人同士ってこと。出るとこ出て、食べるもの食べて、もらうものもらったら、やることやって、で、しばしのお別れ、年末へなだれ込んでるのよ。これ読んじゃったあなたは、もう駄目。絶対にそうなるから。元旦に年賀状送るね。そろそろ締め切り近いじゃない。筆ペンで。年に一回しか使わない筆ペンで年賀状。そうだ、今日は年賀状かいちゃおう。って、もう夕方じゃん。忙しいってのにまったく
クリスマスの夜。七面鳥を抱えて家路へのバスに乗る男。そのバスの運転手。バスの運転手が気にかけている路上の少女。その少女と境遇を同じくする少年。そんな人たちの灯す炎。
一年分の収入で連泊可能な宿泊施設を探し、全額を前払いして暮らす、住所不定の作家、戸五指久義。宿泊施設から全く外出せずに書き続ける彼のルーツを探る。