県内のとある心霊スポットにある壁画に興味を持った女が、ナンパ待ちで知り合った年下のヤンキーと件の廃屋に向かう。そこで気が触れた画家が妻子を殺した血で描いたと噂される壁画を見た女は、気味悪がるヤンキーにその壁画に隠された真相を語る。
失業した妻子持ちの男が、日々の生活に困窮してたどり着いた先は国が自殺を公に認める自殺幇助ボックス。この完全に密閉されたボックス内で、男は睡眠薬と一酸化炭素による自殺で苦しまずに死ねるはずだったが、システムの誤作動で生きたまま狭く暗い空間に閉じ込められてしまい、生と死の間でもがき苦しむ。
「50になったら必ずだ・・・・・・」 彼女へのクリスマスプレゼントを買いに吉祥寺の街へ出かけた青年には、以前から数取器を使って正確に数えておきたいものがあった。 それは自分以外の他人に感じる悪意で、青年はそのカウント数がもし50に達したら、世直しのために吉祥寺の街で無差別大量殺人を決行する事を自分に課していた。 平穏無事にプレゼントを買って帰宅する事を願いつつ、行く先々で他者に配慮のない人々の迷惑な行動に遭遇して神経をすり減らし、次第に増えていくカウント数と共に膨らんだ被害妄想を一人抱えながら、とうとう限界値の50カウントを迎える。
一家団欒を避けるように、夕飯を終えた茶の間に出て来て晩酌を始めた祖母の、酔っぱらって振り返る過去の不遇と奇妙な出来事が、サルの生態を追ったドキュメンタリー番組に被さって、ぶつぶつと孫に語られる。
南海の小さな島に年に一度訪れる豊年祭の夜。 島の底から来た“マレピト”と呼ばれる仮面の神が、島の豊饒を祈願する奇妙な舞いを披露する。 貧しい島の悲しい歴史と、王国に翻弄される暗い現実が、事情を知らない二人の少年に託され、少年たちは仮面のマレピトから恩恵を受け取るために、マレピトがやって来た大洞穴に向かう。
山間の田舎町で、将来に漠然とした不安を抱えていた高校三年の敦彦は、自宅の部屋の窓から公衆電話で援助交際をしている幼馴染のエツ(悦子)の姿を目撃する。 異性で唯一親交のあるエツに以前から思いを寄せていた敦彦は、嫉妬心から電話ボックスのエツを視姦して自慰行為に及ぼうとするが、エツの鞄にぶら下がった不可解な赤いお守りをきっかけに、夏の夜の神社で体験したある出来事を思い出す。 それはエツの後ろめたい家庭事情が引き起こした暗い事件で、敦彦はそれが天真爛漫で妙に成熟したエツが生まれながらに持つ深い業のせいだと知る。 自分を縛る環境から逃れるために町を出て行ったエツを、周囲の人間はただの不良少女として簡単に扱おうとするが、敦彦だけはいつまでもエツを擁護しようと心に誓い、卒業式の日に前からどうしてもエツに聞いておきたかった事を聞くためにエツに最後の電話をする。