そこは地獄。 寳の河原にあるのは、石と霧と硫黄と、親からはぐれた子供の泣き声。
その世界は、ずっと夜だった。闇に覆われた世界。月と星と暗闇の世界。月の微笑みと、星のささやきと、夜の静けさだけが支配する世界。そんな世界のそんな闇の中で、少女が死んでしまった。突然の、理由もない死。その死の意味を知りたくて、少年二人は旅に出る。夜が明ける場所を探しに行く。
掌編小説集。
死ぬ権利は、最大に幸福な人にしか与えられない。
双子として産まれた少年。 片割れを殺せば、きっと自由になれると思った。
それは、世界を終わらせる装置。
読んでいて、誰もがそれを短歌だと気づかないほど自然な歌を。(──短歌)
「僕にしか僕になれない」 さあ今日も僕を始めよう、僕になるため。(──短歌)
「生きていく」 その意味をまだ知らぬまま、きみの隣でぼくは生きてる。(──短歌)