【完結済】 5年前ほどに書いたものに手を加えただけのSS集です。 第一話『小梅メランコリア』(しょっぱい恋のお話) 第二話『金木犀』 第三話『キミは風のように、あなたは太陽のように』(青春もの) 第四話『メロウの翠』(ホラー風味) 第五話『ポメグラネイト』(ファンタジー風味)
真夏の太陽が降り注いでいた森から一歩踏み込んだ先は、ひんやりとした冷たい闇だった。 固く敷き詰められた石畳に足音がやたらと響く。徐々に涼しいというより寒くなってきた。 声を低くして櫂が振り返った。闇の中に琥珀色の瞳が光る。睨まれた聡は口元を隠した。
夢に破れ、人生に破れた男の前に現れた死体は、浴室で静かに腐っていく。彼は死体を神様と呼んだ。まるで胸に刻まれた蝿の王だと、回らぬ頭で思う。