So Lonly

So Lonly

So Lonly

何をしても何を見ても思い出す、悲哀があるなら、きっと君は幸福ではないのかもしれない。
でも、特別なことじゃない僕にだってある。何気ないアーケードに何気ない路地裏、何気ない人の仕草に悲しみを感じる。そんなアーケードは悪者だ、僕にとっては。
今日、何気ないアーケードの中にある、寂れた何気ない旨いコーヒーをだす店で
ある女と話をした。彼女は言ったよ「目に見えるものに心左右されちゃ、あまちゃんよ。心の目で見なきゃ。」
その時、僕は思っていた、早いとこ宗教の勧誘なり、美人局のお誘いでもしてくれよってね。でもいっこうに彼女はそんな素振りを見せなかった。僕はタバコを吸いながら彼女の話したい本題を待ち続けたよ。
でも、彼女は昔見たオーロラの話とか氷点下のロシアの地方都市の話しかしなかった。あまりにとりとめがない話で、全くまいったよ。
だから僕もとりとめのない質問を彼女にしたんだ。
そう例えば
「月と六ペンスについて、どう思う?」とかね。
彼女は言ったよ
「挿し絵がないのが問題ね」
なるほど、彼女はバカでないことがわかったよ。
で、どうしたんだっけ、とりとめのない会話すぎて、思い出せないな。

でも、これだけは印象的だった、彼女はコーヒーを二杯飲んで、ハイライトのメンソールを三本吸った後、席を立った、そして僕を置いてきぼりにして帰って行ったよ。
そしてさ、帰り際に
「辛いときは目を瞑りなさい、心も瞑りなさい、そして、こう思いなさい、たいしたことじゃないって。」


気取った女だったね、全くさ、でも別に構わないよ、僕は目を瞑る。

So Lonly

So Lonly

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-07-12

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted