──そんなに言うなら杏樹を起こそう 炎で赤く染まった頬を動かさずに、秀蓮に向かって玲は言った。
オズマンドとの戦いを終えたフェルブランドの騎士たちを労う中、王族であるエリルを守った『ビックリ箱騎士団』にあるモノが贈られるが、それはそれとしてロイドはリリーとのお泊まりデートを迎える。 悶々と過ごすエリルたちはロイドが得たある情報について考えを巡らせ、一方ではセイリオス学院における次なるイベントの準備が進んでいて――
オズマンドの序列上位メンバーとの戦いを終え、騎士たちはそれぞれの一戦を思い返す。 そんな中、連中が使用した奇妙な魔法についてセルヴィアがその答えを示す。 一方、戦いのダメージを癒す為に治療用の風呂に入っていたロイドは、突然入ってきたエリルたち他のメンバーに顔を赤くする。 自分を想う彼女たちとの風呂に頭が沸騰するロイドは――
主人公の人魚の設定は小川未明の『赤い蝋燭と人魚』をもとにしています。人間のエゴに振り回される人外が同じ境遇の同胞と心を通い合わせる話です。
自分の身体を隠そうともせずに、夏の太陽のまばゆい光の下にさらして笑っている陽大は自然体だ。
誰も自分を杏樹とは別の人間なのだと、解ってくれる奴などいなかった。誰も自分を『陽大』と認める人間などいなかった。かたくなに他人の侵入を拒み、みんなで築いてきた心の壁が崩れていく気がした。