玄関に兎が立っていた。 二本の脚で立っている。 靴も履かず、背後にあるドアに施されたすりガラスから透きとおった夕日に静かにあてられている。 全身に白くふさふさとした毛をまとい、真っ赤なベストを着て、三つの大きな金色のボタンを前でとめている。首からは鈍く金色に光る、円盤のようなものをつり下げている。
アスファルトも歪むような真夏日、コンビニの前で一人、チラシのようなものを持っている男の子が居た。 平凡に人間の格好をさせたらああなるんだろうな、というような、特筆すべき特徴なんて当然のようになく、注視していないと背景と混ざりこんでしまうような存在感だった。