《出口抜け空港――存在への不安》 逃げるか、残るか、なんて関係ない。 ある日―― この現実の織り目の隙間を、覗いてしまった、その瞬間 その時点で――気付く前に、 抗えぬ力に引き寄せられ、必ず吸い込まれる。
静岡新聞2025年8月26日読者文芸欄野村喜和夫選
第42回文芸ごうど現代詩部門優秀賞
第27回美濃加茂市文芸祭現代詩部門奨励賞
第52回羽鳥市文芸祭現代詩部門入選
古代遺跡の調査に行き、林の中で一つの石を拾った。茸の化石のようだが
古い木造一軒家を借りた。壁から音が聞こえる。中では茸が詰まって動いていた。
チタケという茸がある。ちちたけともいう。それを食べた男と女のお話しです。犬と猫も食べました。
桃の実の皮に生える茸が見つかった。その茸はーーー
珍しいカメムシ(屁こき虫)がみつかった。そのカメムシがなにをしでかしたのか。
公園の切株に火焔茸たちが生えた。みなそれぞれ生い立ちを話している。
山の中で歯がたくさん捨てられている塚が見つかった。塚の下には古墳がみつかり、茸がミイラのように布にまかれておかれていた。
蟻地獄があったところに、茸が整列して生えた。茸が光り、信号を発しているようだ。
地球上で、人間は新たな進化をとげた。