難しく考えずに、杏樹の中の『彼ら』とそのまま向き合えばいい。玲には玲と。陽大には陽大として。そうすれば自然と彼らを受け入れることができるはずだ。──聡のようにね
クリスマスの日、こびとのピックルは、サンタクロースさんのおてつだいをします。 ピックルは、まちの ひとたちに、プレゼントを くばっていました。 ピックルは サンタクロースさんの ふくと おんなじ いろの、まっかなりんごを たくさん ふくろにいれて、ゆきのふる よるのまちを とびはねて まわりました。
今泣いていたのは『心』心は小さな子どもだ。そして、森の中に逃げて行ったのは『陽大』だ。僕も彼らも、杏樹ではない。僕は杏樹でもないし、陽大でもない──見ろ、誰も信じやしないじゃないか
太古の昔、ホーシア大陸には人と竜が築いた国があったと言う。けれど今や、竜はおとぎ話の住人で、誰もその姿を見たことはない。 竜が守護するというイスタムール国で生まれた、ある子供の物語。
古代ホーシア大陸には、人と竜によって築かれた国があったと言う。それら全てが伝説となった時代、竜が守護するとされるイスタムール国に、隣国との争いが勃発する。 そこへあらわれた竜の少年と、彼を監視し世話をすることを命じられた若い国官。国内に不穏な空気が流れる中、二人は次第に友情を育んでゆく。 竜と人、本来交わることのない二人の出会いは、彼らを取り巻く世界の奇妙な矛盾をも浮き彫りにして、彼らを翻弄するのだった。
棺を囲んでいるのは、棺に寄りかかりながら、お互いもたれるようにして座わり、ミイラ化していた少年たち。その異様な光景に息をのんだ。部屋に足を踏み入れて聡は気づいた。夕べ見た光景。神殿の小さな部屋の床。無いはずの穴に差していた月の光。闇へと消えていた光が差していたのはこの場所ではないのか……。