趣味で短いお話を書いてます。
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終礼が終わり帰り支度をしているときだった。教師が「学級会議をするから、少しみんな席についてくれ。」というのだ。口々に文句を垂れる級友たちに意を介さず教師は続けた。「これはとても大事なことなんだ。よく聞いてくれ。」語気を強める教師に対して、席につきはしたものの口を閉じる気配のない級友たちに辟易しつつ、僕は荷物を鞄に入れる手を止めた。教師は全員が着席したのを確認するように教室を見まわし、黒板に書き始めた。
星たちが煌めき、虫たちの声と遠くから川のせせらぎが聞こえる。灯した焚き火から時折、パチッと火の粉が舞う。大きな木の下にある焚き火の隣には木の棒をつっかえにした質素なテント。木には弓と矢が立てかけてある。男が一人、焚き火のそばでうつらうつらとしている。彼の背後の茂みに光るいくつもの目。焚き火からパチッと火の粉が舞ったその時、獣は男に一斉に襲い掛かった。一匹が彼の首筋に噛みつき、次の瞬間には両腕両足、腹と襲い掛かり彼の体は獣の影で覆われ、もう見えなくなっていた。首筋に噛みついた獣が異変に気付いたその瞬間、男は発火。まとわりついていた獣は火達磨となった
WEB上でにわかに信じがたい噂が飛び交うようになったのは、去年の暮からだった。 僕は学校の友人の前川とスカイプで他愛のない会話をしながら、PCで来週提出しなければならないレポートを書き上げていた。唐突に前川が、そういえばさ、おまえ『指切りハッカー』の噂みたかよ。と言い出したのだった。 「いったい何だよ、それ。ハッカーが指切りげんまんとか言って約束した後、特定の人物に制裁でも加えてくれんのか?」 レポートに行き詰まり、ヘッドセットを有線から無線に切り替え、コーヒーを作りに台所へ僕は向かった。 「そんな生ぬりぃ話じゃねぇよ。今、匿名掲示板で流行ってる話なんだけどよ。どうやら目に余る誹謗中傷をしてるやつらの指を全部切り取っちまうって話だぞ。」
地平線まで丈の低い草が生い茂る大地に、牛が住んでいました。襲ってくる肉食動物はいましたが、それでも綺麗な水や新鮮な草が生えていたので牛たちはその地を離れるつもりはありませんでした。 ある日、今まで感じたことのない揺れと嫌な風が吹きました。そのあと、お天道様とお月様が七回交代する間、ずっと雨が降りました。牛たちは気にせず、いつも通り草を食べ、水を啜りました。 しばらくして、仲間が一頭、二頭と倒れていきました。どうやら病気になってしまったみたいです。可哀そうに思いながらも、どうしようもできないので、置いていきました。
上り線の電車を待つ間、ベンチに腰掛けて本でも読もうかと左手のベンチの方へ向かった。すでに先客がいた。季節感を完全に無視した薄着―黄色いネルシャツと薄いベージュ色の薄手のスラックスを穿き、髪の毛は女性のセミロングほど長く、何十日も髪を櫛で梳いてないことを窺わせる乱れよう、横顔からでもわかる長く黒い髭―の男性が一人、座ったまま待機している下り線の車両の一点を見つめ、身体を前後左右に揺すりながら歌のようなものを口ずさんでいた。わりと大きい声で聞き取れないわけではないのだけど、内容はまったく理解できない支離滅裂なものだった。なんともいえない気持ちになりつつ、読書は諦めてベンチの更に二十メートルほどの奥にある、世界の片隅に追いやられた喫煙所―ぽつんとホームの端に銀色の屋根がスノコ状になっている巨大な業務用灰皿だけが存在する場所―でタバコのようなものを一服やるため、その人の前を通りすぎようとした。