短編ファンタジー 『マタギはじめました』
無理矢理ファンタジーを書いてみました。慣れない分野なので、面白いかどうか皆目わかりません。
毎週 水曜日に800字~ 更新していきます。
軍辞めて、マタギになります
星たちが煌めき、虫たちの声と遠くから川のせせらぎが聞こえる。灯した焚き火から時折、パチッと火の粉が舞う。大きな木の下にある焚き火の隣には木の棒をつっかえにした質素なテント。木には弓と矢が立てかけてある。男が一人、焚き火のそばでうつらうつらとしている。彼の背後の茂みに光るいくつもの目。焚き火からパチッと火の粉が舞ったその時、獣は男に一斉に襲い掛かった。一匹が彼の首筋に噛みつき、次の瞬間には両腕両足、腹と襲い掛かり彼の体は獣の影で覆われ、もう見えなくなっていた。首筋に噛みついた獣が異変に気付いたその瞬間、男は発火。まとわりついていた獣は火達磨となった。獣はわけもわからず、消し炭になった仲間を置いて三々五々逃げ帰っていった。男は、燃え去った衣服を憂いて両ひざを地につけ、地面を両手で叩いた。
沢山の本が山積みになっている漆の光沢が美しい木製の机に腰掛け、カツラギは葉巻に火をつけた。そして、『火タN.05311』と赤い判の押された封筒から資料を取り出し眺めた。
「今日からマタギになる。」
タケゾウがそう言って、魔導軍をやめたのは一か月前。辺境の派遣先で知り合ったマタギを生業としている種族と意気投合して、自然とともに生きるその生き方に感銘を受けての行動だった。
彼のその発言を受けて、カツラギは目を白黒させた。タケゾウの殺してきた敵兵の数は千、二千ではない。笑いながら人間を一瞬で消し炭にしてきた男が、”自然と共に生きる”と言い出したのだ。戦禍は沈静化されてきたが、まだまだ軍としての仕事はたくさんある。そんな中、彼を今失うことが軍としてどういうことになるのか、カツラギはどう彼に返答すべきなのかしばらく迷った。また、彼の進退についてその場で決められるほどの権限はカツラギにはないという理由で、回答は保留した。カツラギは上官にどう話を切り出そうか頭を抱えた。だが、それは杞憂に終わった。どうやら、タケゾウが裏で手をまわしていたようだった。どうやったのかは、想像に難くなかった。タケゾウが、寝枕に立ってソッとつぶやくだけでいいのだ。彼を止めようと思うと、同程度の魔導兵を三人同時投入する必要がある。もちろんそんな兵士は我が軍にはいない。それほど彼は規格外で、それ故に危険な存在でもあるのだ。そんな恐ろしい兵士が軍の手を離れるのは、避けたかったところだ。何が起こるかわからない。タケゾウは、監視付きの除隊になった。ここ一カ月、タケゾウに関する情報は、山がひとつ燃え尽きた、外来種の絶滅、山賊の殲滅、といったところだ。
―たった一カ月でよくもまあ、派手にやってくれたものだ。山ひとつ燃やしておいて”自然と共に生きる”だと?笑わせてくれる。
フーッと葉巻の煙を吐き出し、灰皿に押し付け、カツラギは部屋を後にした。
ドアの衝撃で彼の押し付けた葉巻がコトンと倒れ、灰が灰皿へほろりと落ちた。
動物の焼死体がぐずりと崩れた。
「おめぇ!いつになったら覚えるんだ!?やる気あんのか!??」
ふわふわとした薄茶色の毛を全身に纏った体長一メートルくらいの二足歩行する獣がタケゾウに叫んだ。
「いや、今まではこれでよかったんだけど・・・」
筋骨隆々の葉っぱでできた前掛けしか着ていない男が頭をぽりぽりと搔きながら言い訳をしている。
「おめぇはよ!加減ってぇーもんを覚えねぇといけねぇだ!!そもそも弓矢が当たらねぇからって、すぐ魔法に頼るのがよぐねぇ!!」
弓と矢を持ちぐいっと前に突き出し、小さなふわふわの獣は言った。
「いやあ、前の山を燃やしちまったのは悪いと思ってるよ。ついカッとなっちゃってさ・・・」
タケゾウは腰に手を当てぐるぐると腰を回しながら言った。腰を引くたびに葉っぱが浮いて見えそうで見えない。
「もういいだ。あの山はもう、【飢餓魔獣】で埋め尽くされていてもう山としての寿命も長くなかったけんど・・・危うくおらぁ死にかけただ。オラたちは危険を予知して瞬時に空へ逃げることができるけんど、もう勘弁してけれ。」
「師匠たちがふわふわ空から降りてきたとき、雪みたいだったよ。」
「ほんとに反省してるだか!?」
「はーい。」
「さ、日が暮れる前にさっさと次の獲物を探すだよ!」
筋骨隆々の葉っぱ男とふわふわな小さな獣は、茂みの中へ消えていった。
少しして、今までタケゾウたちが話をしていた場所に黒いフードを被った二人がやってきた。
「どうやら、遅かったようだ。」
と言いながら、一人が消し炭になった動物の焼死体を足でつついた。辛うじて形を保っていた死体は崩れ去り塵となって空中へとふわりと舞った。
「この燃え方、間違いない。あいつだ。」
「まだ遠くへは行ってないようだ。」
もう片方が両手を前に突き出し、なにやら魔法陣めいたものを見ながら答えた。
「しかし、おまえの探査魔法。特定の魔力反応をどんなに離れていようとも正確にトレースできるのは便利だが、次またあいつが魔法を使ってくれるかわからんぞ。」
「だったら、あんたもなにかしら手伝いなさいよ。臭いでも嗅いで探しな。」
「はぁ。俺は、戦闘要員だっての。臭いでもなんでもあいつを見つけられるならやってやるけどよ。」
「ふん。」
「とりあえず、移動するぞ。」
そういい、彼らは足の下に魔法陣を発生させ消えた。
矢が鹿の頭をした豚の横を通り過ぎ、後ろの木にスコンと突き刺さる。
驚いた鹿豚は、ドットコドットコと茂みの方へ逃げ去った。
タケゾウは目を血走らせ、右手に青白い炎を纏わせた。
「消し炭にな…」
と、鹿豚の逃げた方を凝視して魔法を放とうした。視界にもこもこの獣が右下からヒュっと出てきた。
「まあた、魔法に頼るだか?」
咎めるような表情で、もこもこの獣はタケゾウの鼻先で言った。
タケゾウの右手の青白い炎は赤オレンジ色に変わり、そして空中へ離散した。
「う・・・ごめん。ししょー。」
しょんぼりとタケゾウはうな垂れた。
「いいだけんど、もうおまえに付いて大体一カ月だべ。せめて、止まってる動物にくれぇ当てられるようにはなってほしいんだけどもなあ。」
ふわふわと着地しながらもこもこ獣は言った。
ガサッと物音がすると同時に、もこもこ獣はものすごい勢いで空中へ上昇し、タケゾウは全身に青白いオーラを纏った。
彼らがいた茂みは、渦状に綺麗に刈り取られたかように平らになった。切り刻まれた草木が空中に舞う。それがタケゾウに触れるまえに蒸発するように霧散した。
「ほう、なるほど。さすがにこれじゃ効果なしか。」
黒いフードを被った男が一人、木の上から話しかけた。
「おい。おまえ、誰だよ。」
タケゾウの目は既に血走っており、さっきの三倍ほどの大きさの青白い炎が両手にゆらゆらと揺らめいている。
「俺は、雇われなんだが、仇討ちをたのm」
彼が言い終わる前に、タケゾウが消えた。タケゾウが移動したであろう軌跡にオレンジ色の炎が燃え移っている。
森の一部で十メートルほどの青白い火柱が立つ。
「チッ、外した。」
そう言い、タケゾウは森が半径一メートルほどの円柱状に燃え散った中心で炭化した土の上に両手をつきながら呟いた。ゆっくりと立ち上がり、左手をヒュッと斜め下に振ると燃え移っていた炎がオレンジ色から青白く変化し、燃えいていた物質を瞬時に炭に変え、ふっと消えた。
ふわふわともこもこ獣が下りてくる。
それに気づいたタケゾウが声をかける。
「ししょー!無事でしたかー?」
ふわふわと浮いているもこもこの獣はタケゾウの遥か上空で叫んだ。
「先にけぇーる!!おめぇのこと詮索はしねぇが、教えるのは片してからだあ!ついでに、今日の晩飯もおめえが捕ってくるんだぞお!じゃねぇとおめえの分は無しだがんなー!」
そして、ふわりふわりと森の空へと消えていった。
「はぁ。片してつっても、もうどっかいっちゃったもん…」
しょんぼりと、タケゾウは呟いた。青白いオーラを纏ったときに燃え去った草の前掛けを新たに作るべく、お気に入りの葉っぱと蔦をさがしにタケゾウは森の中へ悲しそうに消えていった。
オコウとギンベエ
* * *
両手を突き出し魔法陣をみている黒いフード女の横の地面に新たに魔法陣が浮かび上がった。
次の瞬間、フード男がフードの右半分を燃やしながら現れた。
フード男は倒れこむようにフードを脱ぎ去った。その瞬間フードはブワッと塵となって燃え尽きた。
「予想以上におっかねぇな。かすってすらないのに、高級耐火のフードが燃え尽きちまったよ。」
フード男改めギンベエはだらだらと冷や汗をかきながら、大地に仰向けになったまま言った。
「言ったでしょ。悪魔より恐ろしい男だって。やっぱりあなたじゃ無理なんじゃない?」
フード女改めオコウはフードを脱いで、ギンベエの方を向いた。
「悪魔だって斬り殺すってのが俺は売りなんだ。今更、引き下がるわけにはいかねえ。それこそ、おまえも俺がいなくなったらどうやって仇討ちするってんだ?」
ギンベエが仰向けからうつ伏せになりながら、オコウの方を見て言った。
「あなたがダメなら次の策を考えるだけよ。端から成功するとは到底思ってないわ。それにあなたを雇ったのは、正直、様子見。あいつの今の実力を見るってところもあるの。」
そう言いながらオコウはギンベエに手を差し伸べる。
「ずいぶんな言い方じゃあねぇかよ。温厚で紳士な俺じゃあなかったら、あんた、死んでるよ。」
オコウの手を取り起き上がりながら、ギンベエは言った。
「温厚で紳士そうだったから、あんたにしたのよ。それに、割安だったし。」
「うるせぇなあ!前の依頼人があんまりにも外道だったんで、つい殺しちまったんだ。それが大っぴらになっちまって割安にでもしねぇと、客が付かなかったんだよ!」
「ま、期待してないけど、期待してるわ。」
「どっちなんだよ。」
勝手にオコウの後ろに縦向きに魔法陣が再び浮かび上がった。
「あ、さっきのあいつの魔力解析が終わったみたい。」
オコウは魔法陣に向き合い、何やら作業をし始めた。
「おい、勝手に解析してくれんのか?どんな魔法だよ。」
「は?魔法ってのは本来そんなもんでしょ。理屈がわかっちゃあそれはもはや魔法とは呼べないんじゃない?」
作業をしながら、オコウはギンベエに尤もらしいことを言う。だが、魔法を解析している彼女が言えたことじゃない。ギンベエはこれに気づくことはなかった。
「ん?なに・・・これ・・・?」
オコウは作業を止め、眉間にしわを寄せ、顎に手を添えた。
「どうした。つっても、俺にはなにがなんだかわからんがな。」
ギンベエはオコウの頭上から魔法陣をのぞき込む。
「ここ、 空気の魔法元素なんだけど、あいつの周りは燃焼現象で減っててなんの不思議もないんだけど、次にあんたに火柱を打ち込む直前だけ、炎と空気の魔法元素がありえない濃度であいつの周りで増えてんのよ。」
「は?つまりどういうことだ?さっぱどわかんね」
ギンベエは耳をほじりながら言う。
「あいつ、どこからか魔法元素を引っ張ってきてる・・・?ってこと?」
「そんなことができるのか?」
「あんたは、瞬間移動してんでしょーが。」
「いや、あれはそーいう魔法だし。」
「だから、別の空間、もしくは、次元から魔法元素をあいつは瞬間移動させながら闘ってるってことじゃない!」
「ん?それがなにか悪いことなのか?」
「あれだけの濃度の火と空気の元素を引っ張り取られた空間を五か所でいいわ、それくらいに絞るだけで、五人は確実に窒息死、もしくは凍死させられるわ。あいつの燃焼現象の規模が大きければ大きいほどその数も増えるわね…。ま、正確にピンポイントで狙って引っ張ってこれるなら、だけど。」
オコウは恐怖でついついニヤケながら言ってしまった。
「本当に人を殺すためだけに生まれ落ちたような人間ってわけね…まさに悪魔よ!」
「ふーん。それって、代々受け継がれてる秘伝の魔法なのか?」
「いえ、今までそんなことしたって人がいないだけよ。着眼点の違い。ま、高位の炎使いは瞬間移動の魔法と相性が悪いとは言われてるけど、規模が小さければ似たようなことはたぶん私にでもできるわ。」
「ふむ・・・。」
ギンベエはそう呟いて、オコウに背を向けた。
「なあ。思ったんだけどよ。あいつ、おまえみたいな探査魔法使えるってことはねえよな?」
「は?そりゃどこかで習ってるなら使えるかもしれないわ。精度は技量しだいだけど。」
とまで言って、背筋がゾッとした。
「今すぐ魔法を使わず、この場を離れた方がよさそうだ。」
彼らは血相を変えて、スタコラと逃げ去った。
少しして、背景がゆらめき、すっとタケゾウが先ほど彼らがいた場所に現れた。
お気に入りの葉っぱと蔦を探すのに手間取ったのだった。
「はぁ。面倒だなあ。でも、あーいう奴らはしつこいからなあ。」
そう言いながら、タケゾウは両手を前に突き出し魔法陣らしきものを出した。オコウの出した十倍ほどの大きさの魔法陣らしきものは、あまりの大きさに半分以上が地面に突き刺さってしまって見えない。
「あー。そこか。どーすっかなー。攻撃してきたほうは殺しとこ。」
そう言って、タケゾウは片手を前に突き出したまま、右手を魔法陣らしきものから離した。
右手に青白い炎がゆらゆらと纏わせた。そして、空に向けてその右手をかざした。
「うーん。加減しないと、周りの動植物まで逝っちゃうから戦場とは違って難しいなあ。これくらいかな?」
と言い、空にめがけて火柱を放出した。
「はぁはぁ。ここまでくれば、安心できるかしら。」
オコウが振り向くと、ギンベエは薄紫色の肉塊となっていた。
「あああああぁあああ!」
強烈なフラッシュバックと共にオコウはその場で気絶した。
もこもこ獣とオコウとタケゾウ
***
地平線にまで広がる森林にぽかりと拓けた場所があり、その場所にはログハウスのような小屋が大きな焚き火—岩が半径五メートルほどの円状に並べられていて、縁には円の中心の軌道上に一対の高さ二メートルくらいで先端がY字になっている太い木材が突き刺さっている--を中心に四件点在している。
森の上空には夕日を背に小さな丸い生き物が数十匹ふわりふわりと飛んでいる。彼らのもこもこした毛からは弓と矢筒と思わられる先端が顔を出していた。彼らはそれぞれ何かの植物で作ったカバンのようなものを手に抱えながら、あるものは二匹で大きな下処理されたであろう肉塊を何かの植物で作ったハンモック状のもので運んでいる。わらわらと先ほどの大きな焚き火の付近に降りていった。
「みょい!みょい!!」と一匹のふわふわ獣が両手を顔の横で左右上下に動かしながら、鳴いた。すると、森の空は雲一つないのにかかわらず、雷が大きな焚き火に突き刺さるように落ちた。バリバリバリゴゴゴオン!!という空気を割くような轟音と一瞬昼を思わせるほどの光が、夜の装いを始めた森とこんばんはと顔を覗かせた月を驚かせるように鳴り響き、光った。雷の落ちた場所からゴゥ!と火が立ち上がりみるみるうちに、小屋ともこもこ獣たちを照らした。二匹のもこもこ獣が七メートルほどの大木をどこからか運んできて、Y字の先端に橋を架けるように置いた。その大木からは、先ほどの大きな肉塊が吊るされている。ジュゥゥと音を立て肉塊から肉汁が滴り落ち、香ばしくも食欲を誘う匂いで集落を包んだ。もこもこ獣たちは、それぞれ持ち寄った肉やら魚やらを思い思いの方法で調理し始めた。あるものは金網上の金属の上に魚を載せ網焼きに、あるものは野菜と肉の交換の交渉をしている、あるものはフライパンのようなものに肉や野菜を入れ、とろみのある発光した液体を水筒からフライパンに直に必要以上の高さから入れている。大きな焚き火を中心にもこもこ獣たちはわいわいと食事を始めたのだった。
「おい、もこぴー。タケゾウはどうしただか?」
一匹のもこもこ獣が口の周りの毛を肉汁でべったりと汚しながら、箸を器用に使って魚を食べているもう一匹のもこもこ獣に尋ねた。
「あいつにまた狩りを教えてたんだけんど、また変な人間が襲ってきたもんで、後始末を終えるまでけぇーってくるなって言ってそれっきりんだ。」
そういいながら、もこぴーと呼ばれたもこもこ獣はちびちびと魚をつまみながら答えた。
「またかー。あいつ、なにもんなんだ?一カ月前にころっとやってきて、俺たちを困らせていた【飢餓魔獣】を山ごと消し去ったし、お礼を言いに行ったら勝手に感激して居ついてしまうし、そうかと思ったら、弓矢はからっきしだし、ちょいちょいタケゾウを襲ってくるやつは現れるし。」
そこまで言って、肉にかぶりついた。肉汁と焚き火から灯りで、薄茶色のもこもこの毛が口周りだけほぼ茶色になった。もちゅもちゅと肉を噛んで、飲み込んだあとつづけた。
「なぁ、大丈夫だか?あんだけの魔力を持った人間の命を狙う輩ってぇーなると、結構厄介だよ。」
もこぴーは魚を食べ終え、皿代わりにしていた葉っぱと共に綺麗に頭と骨だけになった魚を焚き火の中へ放り投げて立ち上がった。
「いざとなったら、オラがあの技で両方とも屠るだ。みんなは気にしなくていいだ。それに、一番厄介なのはあいつの敵意がいまこっちに向く方が厄介だよ。まあそれの心配もなさそうだがな。」
肉をむさぼっているもこもこ獣が「そうか。まあ、次期族長に任せるだよ。ただ、その技を使わなくて済めばいいだがな。」ともごもごと言った。それをちらりともこぴーは見た後、ひゅっと上空へ飛び立った。
体の比重を空気より軽くすることのできる特異な体質を持ったもこもこ獣は、跳躍と組み合わせることにより素早く上空へ飛び立つことができ、さらに浮遊の魔法を併用することでその小柄な出で立ちからは想像できないような重たいモノも空を飛びながら運ぶことができるのだった。
もこぴーは空にふわりふわりと浮きながら三日月を見つめてタケゾウと出合った日の事を思い返していた。あのときも、確か三日月が出ていて星たちが煌めいていた。
短編ファンタジー 『マタギはじめました』