禁断の果実は無花果だった。カエルとナメクジと蛇が守る無花果の木、そこは妖精たちの生まれる世界。その世界に足を踏み入れた吾。
酒を飲んでいると、女やもりと男いもりが天井から落ちてきた。女やもりの亭主は、カマキリに惚れて家をでて、隣に住んでいるという。
家族の記憶は紫陽花の花びらのように寄り添い、重なり合う。 最愛の妻・小夜子を病で失った夫と、幼い姉妹。 別れの悲しみと向き合いながらも、子どもたちの笑顔と、遺された「紫陽花」の名に込められた願いが、再び家族を照らしていく。 淡い季節の光と線香の煙、そして紫陽花の花が織りなす、静かで優しい追憶の物語。 『紫陽花』他、花の名前を冠したオムニバスストーリー。