何も判然としない……。青年は、自分が誰で、どういった人間で、そして今いるのがどこなのか、その全てが分からない。けれど彼にも一つだけはっきりとしていることがあった。それは、何としてでも果たさねばならぬ使命だった――
ダーン、という激しい音とともに木製のドアが蹴破られ、ごついS&Wのマグナム拳銃を持ったオオカミが室内に押し入って来た。薄汚れたデニムのズボンに、元は白かったであろうTシャツを着ている。灰色の毛に覆われた顔面に、二つの目だけがギラギラと光って......
某電子歌姫様の楽曲からイメージ。 錆び付いた街――その名も『廃材街(はいざいがい)』。中心地に位置する富裕街とそれを囲むように成り立つ貧困街。 その街に住む不運を辿る少年・シュン。 彼が路地裏で出会ったのはまるでパンダのように目の周りが黒い少年・マオだった。 二人の少年が歩む道筋とは――。
未来事件簿「ベルの音」 あらすじ かラーン、コローン。 敬虔なクリスチャンだった年頃の女性には、その「ベルの音」は教会の鐘の音にしか思えなかった。真夜中だった事もあり、本当に神の降臨だと思って彼女は膝をついて十字を切った。だが、何も起こらない。小一時間たってようやく怪しいと思ったのだ。 比較的遠い未来。 殺人事件。 この「ベルの音」を被害者の近隣の住人が聴いている中、聴いていないと証言する者が一人だけ。すぐ隣なのに、という不自然さ。 果たして?
静岡県警に届いた一通の手紙、それには夫婦で行く東北旅行で事件の発生を予知していた。 静岡県警では野平一平、美優夫妻をこの旅行に参加させて、様子を見る事にした。 だが、事件は静岡県内の殺人から始まる。しかも殺されたのはツアーの参加者、次々とツアーの参加者が殺されて、緊迫の展開に成る。 事件の後ろには巨大な大物の姿が有った。犯人の男には変わった趣味が有った。野平美優が身体を呈して事件に望む、異質の殺人サスペンス、静岡県警と巨大組織との対決、マゾ男の意外な弱点を見抜く美優の痛快な行動、東北と静岡を結ぶ物語。
2作目の推理小説です。但し1作目の2次創作品になっていますが、こちら方が少し深いかもしれません。人間の奥底を啜るような味のある作品にと考えてみました。 お湯を注ぎ、このミステリーを読み終えた頃には「少し硬めのカップうどん」が出来上がっていることだろうと思います。 多分世の中には似たり寄ったりの作品があろうかと思いますが、自身のオリジナル作品として投稿しております。
死して力を得る。それが私たち、花の娘たちのチカラ。 死ねば花は枯れ落ち、やがて実を結び異形を成す。 花たちは力を得るために花粉をその身に受け入れ、死ぬための準備をしている。 そのことが、私はとてもじゃないけれど許せなかった。
絵の得意な少女、昨春(さく)と、母親を亡くした、作家の梅(うめ)。二人の高校生活最後の一年は、探偵団 瞬解 として動いた。 団長の昨春 副団長の界樹 書記の梅 団員は愛那、華音、陸翔。六人で難事件を解決していく!
金木犀の甘い香りと、紅く咲き誇る彼岸花。 夏の終わりと秋の始まり、此岸と彼岸、生と死の交わる夜――。 「殺してください――」 女はそう云った。