可愛いと醜い (かわいいとみにくい)

ああ 私は何でこの顔に生まれてきちゃったの…?

とある中学校で……。
東野 沙織 ( ひがしの さおり )
その容姿には誰もが驚いた美形だった。美人と言うのだろうか。性格も優しく、可愛い女の子だった。
髪は黒髪ストレート。ボブに切った髪は太陽に照らされ、天使の輪が見える。肌は白い。目は宝石みたいな綺麗な目。血色のある唇。

「おいおい。あの子だろ?あのめっちゃ可愛い中1の」
「あーあの子知ってる」
「こないださーぶつかった時なんていうの?し…小動物って言うのかな笑」
「東野さんかわいいなー」
「こないだ渋谷でスカウトされたらしい」
「あんな子と付き合えたら最高だよな」
上級生はすごいさわぎたてる

『はぁ…。今日もみんな見てる…。 うれしい…んだけど…怖いなー』

東野沙織には親友がいた。
その子は深季 るる ( ふかき るる )
後ろにおだんご頭でシュシュを手首につけている。肌は小麦色の健康肌。
今日もジャージを下にはいている。運動系女子。

「おっはよ!沙織!」
「おはよ…!!るる!」

三階の自分たちの教室に向かう。

ガラッ

男子はみんな沙織を見ている。
女子は沙織に対して冷たい視線。

るるはそんな女子の反応を見てボソッとつぶやいた。
「大丈夫だよ!気にしない気にしない!私がついてるから!」
沙織はちょっと泣きそうになった。
「ありがと…ぅ…るる!」

1人の男の子が2人に近づいた。
その男の子は秋河 晶 ( しゅうが あきら )
黒髪。ちょっと伸ばした髪はうなじをかくしている。かっこいくて優しい晶はみんなの人気者。

そして 沙織とるると晶は幼馴染 ( おさななじみ )なのだ。
幼稚園の頃からずっと一緒。

晶「沙織っ!! るるっ!!おっはよー!!」
沙織「おはよー晶くん」
るる「るる様とお呼びなさい晶どの。」
晶「はぁ?!意味わかんね〜笑」
沙織「もういいよっ笑笑」
るる「あはは!」

いつもの楽しい1日が始まる

「沙織っ!トイレいこっ!」
「えっ……うん!」

るる「沙織…。私……私… 晶が好き」
沙織 心の声『え…?』
沙織「るる…なんて言ったの?」
るる「私っ…!あ…晶が好きなの!!」


るる「だから告白しようと思うの!」
沙織「うん 応援 するよ」
るる「ありがとう!いってくる」


1時間後……
涙を流したるるが屋上にやってきた
るる「私振られちゃった!ど…ど…うわああああああ」
沙織「落ち着いて…また新しい恋を探しなよ」
るる「あんたのせいよ!」
沙織「え?」

1時間前……
たったったったっ
るる「晶!」
晶「なに?」
るる「あ…あの私 晶が好きなの!付き合ってください!」
晶「…………」
るる「あ…晶…?」
晶「ごめん…俺沙織が昔から好きなんだ」
るる「あ…そう…なんかごめ…ん」
ダッ

るる「あんたがいるせいでいつもいつもっっ!」
沙織「るっ…」
るる「さわらないでっっ!」
バシッッッ
沙織「あっ…るっ……るる?…」

キランッ

ナイフが光っている……

沙織「ナッ……ナイフ?るる?るる!るるってばぁ!!やめて…うそでしょ」
一瞬目をつぶった
ドンッッッッッッ!!
るる「キャアアああああああああああ」
るる「あ…晶ぁ…」
ぐっしゃぁぁぁぁぁっ
沙織「ひっ」
晶が沙織にそっと優しく包み込んだ
晶「大丈夫…俺がいるから…」
沙織「あ…晶…」

かあああっ
沙織の顔が赤くなった

ドン
沙織「あっ晶ってば!!」
晶のカバンが落ちた
沙織「あ…ごめん…」
晶のカバンから中身が出ていたので入れようとした
沙織「え?…」
沙織のいろんな写真が晶のカバンからでてきた
沙織「え?え?晶?これ…なに」
晶「あーー見られちゃったらしょうがない……。沙織は僕のもとにくるんだ」
ぐいっ
沙織「ひぃっいやぁっ」
ダッダッ
外は暗かった

おじさんが沙織に近づく
「お姉ちゃんかわういねー笑」
髪とかを触っている
「ん…やめていやっいやああっ」

ダッ

『もう…やだ!!この顔で生まれてきたのが間違いだったんだ…』

沙織は車の前に飛び出した
キキキキキキィィィッイイイイイイイ
誰かが叫ぶような音に聞こえる

看護師A「ねぇあそこの406号室の患者さん。車にひかれて顔がすごいことになってるらしいよ」
看護師B「あー知ってる」
看護師A「あの人もとはすごい美人だったんだって」
看護師B「まだ若いのにかわいそうね……。」
看護師A「それが…。車に飛び出した時ちょうど顔に当たってひかれたらしいよ」
看護師B「やな話しないでよ…」

『ちょうどじゃないわ……。狙ったのよ……。顔がひかれるように…………』

可愛いと醜い (かわいいとみにくい)

可愛いと醜い (かわいいとみにくい)

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • 青年向け
更新日
登録日
2017-04-10

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND