大好きな、あの人の煙草の匂い。 あの頃、世界中で一番好きな人がいて、自分が世界中で一番幸せだと思っていた。 14年前に離婚してから会っていない本当の父。どこで何をして、誰と暮らしているのかも分からない。 母は何も語ってはくれない。会いたいと言ったらどんな反応をするのかも分からない。 真実を知るのが怖くてずっと遠ざけてきた問題。 しかし、思いがけない人物の登場で「私」は過去への一歩を踏み出す。 そうだ。 私はこの匂いが大好きだった。ずっとずっと昔から。
私は卵になりたい。卵になって全てをゼロにして、もう一度生まれ直したい。生きたくない。死にたくもない。助けて。でも触れないで。傷つけて。でもできるだけ、傷つけないで。 思いついたものを残しておく、それだけのための短編集です。
同棲している彼氏、ハルが帰ってこなくなった。 ナツキは二人のこれからについて答えを出そうとするが…… あなたの近くにも居そうな、ありふれたカップルの小さなラブストーリー。
レイが生まれ育った町にやってきたふたり。嬉しげにどこか物寂しげに目を細めるレイを横目に、ユズルはタキが病院にやって来た日のことを思い出していた。思いもよらなかったタキが入院した ”その理由 ”が明かされる・・・。 ≪全2話 前後編≫ 【本編 橙色のミムラスを、笑わない君に。】ほか【続章】【最終章】【番外編】も、どうぞご一読あれ。
二兎追うものは一兎も得ず、と言われていますが二兎追うにはどうしたらいいか、ということを書いたものです。 しんがりさんに掲載させていただいていたのですが、事情によりこちらで管理することにしました。