その村には笑い茸小唄という唄が伝えられている。その唄を知っているのは梅ばあさんだけだ。いったいその茸はどんな茸なんだろう、
僕は母さんとあさりを掘る。母さんはそのあさりでお味噌汁を作ってくれる。僕はまた母さんとあさりを掘る。僕が死ぬと母さんたちは悲しむ。でも僕は、生まれ変わって、新しい母さんとあさりを掘る。僕は母さんとあさりが好きだ。あさりは砂抜きの時、お鍋の中でカシャカシャと静かな音を立てる。
庭の紫陽花の下で小さな赤いものがはねている。老眼鏡をかけてみると茸だった。黒アリに囲まれた赤い茸に、仲間の茸が紫陽花の根元から現れアリとの戦になった。