あの人の煙草。わたしの嘘。 私の煙。 あの人の嘘。
深夜徘徊するのは だれかをなにかを探してるから の、 ような気がした冬の夜。
一度だけ目指した駅。 待ちぼうけした晴れた日。
彼女と煙草の話ばかりしていた。 幸せになりたかった。
源氏名で笑っていた夜。 ピンヒールとドレスとグラス。
桜の道を歩いて出て行ったあなたと 見送った私と。
曇天の下であなたと。
どこでもなかった どこにも行けなかった どこにも居られなかった。