smoking sister.

ゆおん 作

smoking sister.

親愛なる お姉ちゃんへ。

彼女とよく 煙草の話をした
良い子は夢の中にいるような時間に


眠れないの?
「眠らないだけ。」


自分は食べないくせに
一日中 台所に立っていた

「あの人が好きだからね。」

百均のギフトボックスに詰めながら
幸せよ。って顔をしていた

「あなたもいるなら、あげるけど?」

ごめん、甘いの、いらないや。

「うん、知ってたよ。」

うん。

「私たち、似てるからね。」

そうだね。



彼女も私も 身体に悪いことばかり好んでいた
眠らないまま迎える朝
常備されているアルコール
空腹
愛のないセックス


「私たちさ、がんばってるよね。」

そうだね。傷だらけだけど。

「がんばってるよね。」

うん。



昔 描いたのだという 少女の絵を見せてくれた
静かな 青い 美しい 悲しい
そんな少女の絵だった

友達だったの?この子と。

「どうだったかなあ。」

昔のことだもんね。

「そう、昔のこと。」



私が髪を切る度に 可愛がってくれた

「いいなぁ。私もそんなふうにしようかな。」

したらいいじゃん。

「でも、ほら。
私のオシャレは こっちだもの。」

パーマをあてた茶色い髪を指に巻きつけて
大人みたいな顔して笑った


「時々さ、全部、噛みちぎりたくなるよね。」
そんなこと言いながら
また 煙草をくわえていた


「絵本に出てくるキャンディみたいな
ぐるぐるの煙草とかないかな。
こう、ながーいやつ。長くてぐるぐるの。」

なんで?

「ずっと吸っていられるじゃない?
そうしたら
ずっと、ここに居られるじゃない。」

ここに?

「そう、ここに。 いま に。」



彼女が焼いた幸せの甘い匂いがする部屋に
背中を向けて
2人で窓から 世界を眺めた
私と 彼女の 煙草のせいで
かすんでみえる 世界を見ていた

私も 彼女も ちっぽけ だった
寂しい顔をした 子ども だった




あなたが最期に その眼に映した景色を
私がは今でも知りたいのです

あの部屋の 何を見ながら
あなたは 何に泣いたの

幸せと寂しさの匂いが満ちていたあの部屋で

あなたが見た 終わり


あなたのお気に入りだった赤い箱の煙草
ひとり 吹かしている
立ち昇る煙が
せめて あなたに 届くように

私の寂しさが あなたに 届くように。

smoking sister.

お姉ちゃんと呼んでいた、大好きだった彼女の話。

smoking sister.

彼女と煙草の話ばかりしていた。 幸せになりたかった。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-02-01

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